第233話 声優さんから考える、言葉と人格の結びつき

 今回は声優さんのラジオから感じる「人格」の話。

 僕が聞いているラジオ番組の一つに「早見沙織のふり〜すたいる」という番組があって、声優の早見沙織さんの一人喋り番組です。僕の世代で早見沙織さんというと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」とか、「STAR DRIVER 〜輝きのタクト〜」とかですが、今の人は「鬼滅の刃」の胡蝶忍、というのが一番分かりますね。

 早見沙織さんはお淑やかで、丁寧で、癒し系な話し方をするのですが、たまに「デカイ」みたいな砕けた表現をすると、お! と僕は感じる。早見沙織さんの本音、というとちょっと違うけど、本来の人格が覗いたな、と感じる。

 最近、なかなか聞けないのですが「能登麻美子のおはなしNOTE」という番組もあって、これは声優の能登麻美子さんが前半は朗読、後半はお便り紹介をする番組です。この番組を聞いていると、能登麻美子さんの声も喋り方も、「デカイ」みたいな表現は出てきそうにないし、きっと口にしない。いや、してるのかな……、気づかないだけで……。

 こんな風に、僕がラジオを聞いてる範囲では、喋り方、言葉の選び方と、その人の人格が結びついたり、重ねられたりしている。女性声優だけじゃなくて、男性声優でも同じことが起こる。小野坂昌也さんは声も口調も話す内容も、「小野坂昌也」という感じになる。

 僕が極端な声優オタクだからかもしれませんが、僕の中での声優さんは「演じるキャラクター」と重なることがほとんどない。それよりも「ラジオでのトーク」の印象が「人格」とイコールになる。まったくの想像ですが、声優さんは演じるのがお仕事ですが、ラジオ番組においては、キャラクターではなく自分を演じるわけで、全くの素ではないけれど、その人らしさが強く表に出るのでは。

 なので、僕の感覚では、ラジオを聞いていない声優さんの場合は自然とキャラクターと重なることになる。その時、後からラジオで素のトークに出くわすと、こんな人か! と新鮮な驚きがあるのが楽しい。近いところでは、Roseliaのメンバーでもある中島由貴さんが岡咲美保さんとやってる番組を聞いたら、中島さんってこんなにはっちゃけた人なのか、と驚いた。凄いギャップです。

 個人的にこの「トーク」と「人格」の結びつきが強すぎる声優さんもいて、僕の世代では大半の人が一度は通る、堀江由衣さん、田村ゆかりさんは、僕の中では演じたキャラクターより、ラジオでの印象が鮮やか。飯塚雅弓さんもそうかな。

 この感覚をうまく物語に活かせたら、と思ったりする。登場人物を作るのは「キャラクター」で、それを補強するのが「トーク」かな、と思ったりもする。

 言うのは簡単でも、実際にやるのは極端に難しい……。

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