第225話 学習……?

 今回はずっと謎に思ってる話。

 僕のTwitterアカウントはアイドルのためにあるのですが、カクヨムとかネット小説大賞のアカウントを見ているせいか、勝手にタイムラインに変なツイートが流れてきます。ちなみにカクヨムもネット小説大賞もフォローしてませんが。

 で、その不規則なよくわからないツイートが「小説を勉強したいので、あなたの小説を読ませてください」みたいな感じで、なんかハッシュタグがいくつかくっついているんだけど、謎だ。さらに謎なのは、ついに「あなたはどうやって小説の書き方を勉強したか、教えてください」というツイートまで流れてきた。

 小説を勉強したいなら、少なくともネット上に落ちている無料の読み物ではなく、しっかり出版されている本、もっと言うと、確かな立場の人が書いて、確かな立場の人が目を通して、確かな会社が出版したもの、を読んだ方が絶対にいい。お金がかかるとか言わずに、それは必要な投資と思って本を買うべきです。

 理由は簡単で、時間が有限だからです。ネット上の誰が書いたかわからないものを一時間読むより、紙の本を一時間読んだほうがいい。紙の本一冊を読もうにも短い時間しか用意できない、という人もいるかもしれないけど、その短い時間をつなげたり、なんとか時間を捻り出してでも、紙の本を読むべき。たくさんの書き手の作品に触れたいなら、アンソロジーを読めば良い。とにかくネット上のアマチュアの作品から何かを学ぶのはとにかく困難です。

 小説の書き方をどこで学んだか、というツイートのリプライをちらっと見たけど、何か、変なジョークみたいだった。「これこれという本を読んで、あとは独学」ならまだ分かるけど「学校の先生」となると、???と頭が混乱した。僕に悪意がある側面があるとしても、あまりにも無邪気で、笑うに笑えなかった。

 文章の書き方なんて人の数ほどあるし、おそらく十中八九、独学です。みんな、読みたい本を読んで、憧れたり真似したり、影響を受けて、その複雑な蓄積がその時のスタイルでしょう。しかもそのスタイルが常に、少しずつ変化するはず。そもそも「文章の書き方」を学ぶって、表現が謎な気がする。小学校で文章の書き方は習うけど、小学生で原稿用紙300枚書ける人は極端に少ない。それは語彙や比喩なども含めて、インプットがないからだと思う。ある程度のインプットを経れば、アウトプットはいくらでもできる。それがあるいは「文章の書き方」を学ぶ、の意味するところかもしれないけど、これは「文章のネタ」を学んでるだけで、文法的なものとはかけ離れている。

 僕はここ十五年くらい、ひたすらラジオにメールを書いているけど、誰からもメールの書き方は学んでいない。そもそも誰も教えてくれないし、そばにいる人は、そもそもラジオにメールを送ったことのない人しかいない。で、どうやって学んだかを振り返れば、とにかくメールして、「感触を探った」ということになる。これくらいの長さなら良いのかな、というようなところから、こんな下ネタは許されるかな、というところまで、とにかく手探り。これはよく覚えてますが、とあるラジオで、一つのコーナーが終わってその週のテーマのメールが読まれるコーナーに行く時、クッションとして二択の質問のメールが読まれている、と気づいた瞬間があった。毎週聞いてたので、そうだろうな、とほぼ確信した。で、僕は意図的に二択の質問のメールを送ったら、ちゃんとそこで読まれました。これがつまり「学習」的なものなのでしょう。

 それにしてもTwitterで「あなたはどうやって小説の書き方を勉強しましたか」は、側から見ると、小学生に「綺麗な文字の書き方」を質問しているみたいだった。そういう質問はプロの作家にするべきであって、ネットから返ってくる言葉は、なんとも言えないのでは?

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