第213話 酷い指し手

 今回は将棋の話。

 ここ一ヶ月ほど、将棋ウォーズを再開して、なんとかやっている。しかしまったく、酷い手しか指せない。

 少しでも知識のある人、思考力がある人、計算力がある人、盤面や局面を把握する力、閃きがある人、つまり僕が持ってないものを持つ人には、どうしても勝てない。

 勝つ時は、相手が本当に簡単な手順を失念している、くらいしかない。これが苦しい。勝っても苦しい。

 もっと上手く指せるはずなのに、僕の頭がそこに至らないのが、歯噛みするほど、身悶えるほど、唸り声が漏れるくらい、とにかく悔しい。

 実はスマホに別のアプリを入れていて、それはAIが相手をしてくれるのですが、レベル2にすると全く勝てない。これが、こちらのミスを相手が確実に咎めることが第一、次に的確に受けてくること、最後に駒の損得を精密に計算してくる、やや人間離れしたように見える手を指す。何回指しても、最短距離で、しかも受けが難しい手で迫ってきて、どうしようもない。一度、相手が角を切って銀と交換するように追い込めたのが、一番良かった。負けたけど。それにしても、この角銀交換は人工知能の苦し紛れとか、無知を装った悪手ではなく、おそらく最善か、次善だったと思う。

 このアプリには待ったをする機能があるので、こちらの最善手を探せそうなものだけど、なかなか出来ない。アプリが教えてくれればいいのに、と恨めしくもある。

 時間の使い方もまだ覚えていない。十分切れ負けでも、三分くらいで勝敗が決まってしまう。考える癖、勝負どころを察知する経験が必要だと思われる。

 それと何度も書いている囲いについては、もはや無視している。強引に46と66の地点に銀を繰り出し、角は79に下げる、変な形でやっている。どう考えても攻撃的で、防御を考えてない。戦線を押し出して防げばいいかもだけど、こんな戦法、定跡があるとも思えない。とにかく難しい。

 今もまだ一日三局の無料ユーザーなので、とにかく一勝はするのが目標です。強くなりたいけど、強くなれない気もしていて、その感覚は日増しに強くなるけど、やめられない。頑固とか、諦めが悪いとか、負けず嫌いとか、いろんな表現があるけど、執念深さがどこかで意味を持つことがあると思いたい。信じたい。

 僕は何事もそんな感じだなぁ。好きなものを手放そうとしないというか。沈んで沈んで、水圧に潰されるその時まで、その重しを抱え続けるだろうなぁ。

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