第203話 不幸は三度、兆候を表す
今回は久しぶりにアニメの話。
と言っても、ものすごく前の「イノセンス」の話です。つい少し前に読んだ本で、「人間」と「人形」にまつわる問答があって、「イノセンス」で語られた内容だな、とふと思い出したりした。
それはそうと、中盤の最後のあたりで出てくるセリフで「不幸は三度、兆候を表す」というようなセリフがあって、このアニメでは引用がものすごく多いので、これも引用でしょう。
で、その三度の兆候というのが「見ても気づかない」、「気づいても言わない」、「言っても聞かない」なんですが、これはかなり怖い内容で、考えるほど深みにはまるというか、沈む。
「見ても気づかない」はまだありそうというか、頻繁にありそうだし、いわば事故だけど、「気づいても言わない」は、明らかに意図するものがあって、難しい。「言わない」という言葉が「言えない」とか「先送りする」とかも含んではいるんだろうけど、でも世の中とか日常では、「言えない」ことって多い気がする。相手のため、自分のために、言わないでおこう、と思うのは果たして、どうなんだろうとは思うけど、では僕自身が誰に対しても気兼ねなく何でも言えるかというと、むしろ何も言えない。
きっと「気づいても言わない」に対する「気づいたことはなんでも言う」という形は、昔から言われる「ほうれんそう」みたいなもので、報告、連絡、相談と置き換えられるはず。それが滞りなく機能することで、間違いや失敗、悲劇を回避できるんだろうけど、やっぱり実際には難しいのがなんとも歯痒い。自分自身のことなのに、何故、僕はできないのか……。
さらに「言っても聞かない」はなかなか鋭く突き刺さる指摘。これの怖いところは、「この人は何を言っても聞かないな」と思われてしまうと、「気づいても言わない」が常態化することだと思う。つまり二段階の破滅なんですよね。では、「聞くまで言う」という選択肢があるかといえば、人間の心はそんなに根気強くはできてない。僕もやっぱり、「聞かない」という態度を取られると、もう「言う」ことはやめてしまう。何も「言わない」という形になり、結局は不幸を招き寄せる。
誰の言葉か知らないですが、実に的確な三箇条だと、最近、折に触れて思う言葉です。
もっと深く踏み込むと、広い視野や精密な観察眼が求められ、自由に意見することができ、伝えられたことを正確に把握し判断できる、そんな人間になれたら良いのかも。僕とは程遠いな……。
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