第200話 インスピレーション???
今回は「インスピレーション」の話。
ついこの前、テレビでも放送されましたが、「紅の豚」の中で、ポルコの戦闘艇が撃墜されたあと、新しくするためにピッコロ社に行くわけですが、そこでなかなかユニークな表現がある。
ピッコロ親父が、孫のフィオに設計を任せる、と言ったところで、ポルコが仕事をよそでやると言い出したのに、フィオが詰め寄って「良いパイロットの条件は? 経験?」みたいに問いかけるのに、ポルコが「いや、インスピレーションだ」みたいなことを言う。これが非常に興味深い。
僕も創作活動的なものをする中で、インスピレーション、霊感みたいなものに接することが多い。それが、プロット無しで話を書くとか、本当に大雑把なプロットしかない、という場面で感じることは多いけど、実はプロットがあるとしても、どこかしらに神様が降りてくるとまではいかなくても、閃きは存在する。
これは少しサイドストーリーですが、ポルコの戦闘艇はエンジンが操縦席の斜め前方にあるので、そちらの視野が限定される、という設定がある。なのでそこに注目してポルコの視線の配り方を見ていると、ちゃんと上を気にしている。
インスピレーションって不思議なことに、大きさがまるで違って、極端に全てを貫く閃きもあれば、細部に宿る味が思い付いたりするだけのこともある。
さて、「紅の豚」におけるインスピレーションが表出した部分はどこにあるかな、と眺めてみると、新しい戦闘艇が飛び立つシーンと、そこにたどり着くトラックで秘密警察を振り切るところの二つセットの場面の繋ぎはいいし、実はその前のフェラーリンが映画館に現れるのと、船が飛んでからのフェラーリンの道案内の場面も、本当はセットで、ここは四つがスマートに繋がっている、よく考えられたシーンだと思う。ここでフェラーリンを出すことで、最後にジーナに秘密通信を送る内通者が自然と確保できるのも上手い。フェラーリンはインスピレーションが生んだ登場人物かも、と思いますね。
僕は物語はとにかく登場人物を絞るべきと思っているので、「紅の豚」において、フェラーリンほど多くの役目をこなせる人物を編み出したのは、ストーリーをまとまらせる、問題なくシンプルにまとめることに大きく貢献したはず、と解釈しています。
インスピレーションがいつでもやってくればいいけど、こればっかりはどうしようも無い。戦場で、空中で、瀬戸際の中でこそインスピレーションは力を発揮するんだろうけど、一歩間違えると大惨事、となるので、もっと堅実な積み重ねがいいんだろうなぁ。
でもそれでは並のパイロットにはなれても、良いパイロットにはなれない。
さて、どこまで自分を、信じられるだろう。
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