第199話 米澤穂信さんが直木賞を取ったということで
あまり意識してませんでしたが、ちょっとした個人的感覚の話。
米澤穂信さんの「黒牢城」が直木賞を受賞しましたね。僕の謎のライトノベルの歴史を振り返るエッセイが微かに動いたので、米澤穂信さんについて知りたい人が多いのでしょう。
僕が米澤穂信さんを知ったのは桜庭一樹さんのエッセイで、「さよなら妖精」にまつわる部分だったと思います。実際に買ったのは「氷菓」が最初だったと思いますが、刊行からははるかに時間が過ぎてました。たぶん、アニメ化されたのに近い時期だったのでは。あと、松岡圭祐さんの「万能鑑定士Q」のシリーズを読んでいる頃で、人の死なないミステリとか、そもそもミステリに飢えている時期だった。
全く適当な関連付けなんですが、僕の中では桜庭一樹さんが直木賞を取った時、ライトノベルがある種の承認を得たように思いましたし、実は有川浩さんが次に直木賞を取るのでは、と思ってた。その後に来るのが米澤穂信さんかな、という風にぼんやり考えてました。これが僕の不自然なところで、ライトノベル作家の中で強いのがこの三人で、何故か強いと思ってしまう。逆にライト文芸はいつか強くなるかは、あまりわからなくて、単純にほとんど読んでないから、と言えます。
米澤穂信さんの作品で好きなのは、古典部シリーズですが、単発では「折れた竜骨」を挙げたい。この作品はなかなか唸らされる。ファンタジー、ミステリー、それぞれの要素を融合させるテクニックが素晴らしい。こういう作品に接してしまうと、いずれは評価される、評価されるべき、と思うものです。
桜庭一樹さんの時もそうだった。「Gosick」なんかがヒットしましたが、その一方で「赤朽葉家の伝説」なんかを読んじゃうと、これはもうライトノベルに収まる器じゃないな、と思わずにはいられない。そんなことを考えてたら、本当に「私の男」で直木賞を取る、という事態に、驚倒した、というのが2010年くらいのことか。なんか、懐かしいな。
ミステリが直木賞を取る時代がやってきたんだなぁ、と思ったりするけど、もはやそんな硬直した発想や考えがもうおかしいのでしょう。いや、しかし、これは例えばいつか、月村了衛さんが直木賞を取ってもおかしくないな。宮内悠介さんが候補作になったこともあったし、もう文学賞は何が起こるかわからない時代です。
そういえば、ノーベル文学賞に小川洋子さんが近いのでは、みたいな意見をどこかで見ましたが、それはそれで頷ける。文学を理解するほどの感性が僕にあるかは、甚だ疑問ですが。
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