第191話 的場華鈴さんの卒業に関しての雑感

 今回は久しぶりにアイドルの話。久しぶりでもないか。

 あまり詳しく知らないというか、ラジオでいきなり聞いて、前後がわかってないのですが、虹のコンキスタドールの的場華鈴さんがグループ卒業を発表されて、意外な一方、なんとなく腑に落ちて、不思議な感覚が僕の中にあった。

 虹のコンキスタドールは二年くらい前からラジオで追いかけていて、そのパーソナリティの一人が的場華鈴さんなんですが、卒業発表に合わせてのラジオでの話の内容とか話し方を聞いていると、本当に「卒業」なんだな、と思った。

 誰が言い始めたかは知らないし、それこそ20年前にはすでにアイドルがグループを抜けることを「卒業」と表現していたけど、今回の的場さんの卒業は、その言葉がぴったりに思えた。

 新しい世界に羽ばたく、解き放たれるんだな、というか。

 それは僕が的場華鈴さんという人を冷淡な目で見ているわけじゃないんですが、本人の発する言葉を聞いてしまうと、そこには「自発的な選択」と言うべきか、あるいは「意志」みたいなものが歴然とあって、こちらの方から、的場華鈴という女性を解放したい、と思ってしまう。

 僕はアイドルが目の前からいなくなるとき、その幸福を願ったり祈ったり、励ましたり、そんな気持ちを持つけど、的場華鈴さんには、すっと手放せるような、そんな気持ちを持ちますね。もしかしたらこれが「そっと背中を押したい」という気持ちなのでは、とも思った。

 今までにいろんな夢を見せてもらったし、そのためには人生そのものの一部が必ず捧げられているわけで、その責任を取るような形でファンは応援している気もするし、実際、僕はそういう感覚を持つことが多い。等価交換と言ってもいいけど、二人三脚に近いかな。これだけ頑張っているなら、それに応えたい。さらに先へ、高いところへ行けるだろうか。そんなことを思うわけだけど、どこかの分水嶺を越えると、自分が費やしたものや、応援している誰かが捧げてきたものを無駄にしたくない、してはいけない、と思ってしまって、どこで区切ればいいか、皆目分からなくなる。

 でも時間だけは進むし、10代だった女の子も、いつかは立派な女性となって、一人の人間として生きる必要がある。年齢云々ではなくて、人生を生きなくてはいけないというか。もちろん、僕のような人間といつまでも歩調を合わせたりしてても良いんだろうけど、あまりにも多くのものを手放してしまうのは、どちらにとっても重荷のようにも感じる。

 そういう意味で、的場華鈴さんは不思議と、僕には綺麗に飛び立っていくように思える。色々なものが無意識に失われて、でもそれをちゃんと汲み取って、鮮やかに羽ばたくような。

 いつかまた、エッセイで書くと思いますが、生き方ってそれぞれにあるけど、的場華鈴というアイドルは、風みたいだった。もしくは風に乗る羽根か。

 しかし少し、寂しくもあるな……。

 また、虹コンのメンバーを使った物語でも書くか。

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