第174話 2021年の読書総括
今回は2021年の僕の読書に関する総括です。
今年はとりあえず、既読の本を引っ張り出して読み直すことが多かった。そもそもからしてあまりシリーズものを読まない傾向だったのが、ここ数年の間に変わってきて、現在進行形で展開するものを自然と読んでました。その結果、最新作を買って読んでも、既刊の内容を失念している、伏線に気づかない、継続して登場する人物を思い出せない、ということが多くなってました。今年は既刊をひたすら読んである程度、フォローできたかな、というところです。
国内小説ではまず月村了衛さんの「機龍警察」シリーズの最新刊「白骨街道」がなかなか良い内容でした。良い内容というか、作品世界と現実世界のボーダーがごちゃごちゃになって、そこが凄かった。
次にたまたま読んだ吉上亮さんの「泥の銃弾」もユニーク。これは刊行時に気になっていたものの、なかなか買えず、というところに古本で激安で買えたのがまず幸運だった。内容としては、新型コロナで見えなくなった問題が僕の中では意識されました。2021年は東京オリンピックの年だったわけですが、開催の是非みたいなものがフォーカスの中心になって、費用の問題とかはまったく取り上げられなかったし、施設の建設にはさすがに日本人が動員されただろうけど、その仕事を引き受けた後に現場作業員がどうなったのだろう? と、脱線したことを考えたりもした小説だった。難民問題と、最後で登場する「国籍」の問題も興味深い。
今年読んだ本で一番凄かったのは森博嗣さんの「ψの悲劇」ではなかろうか、と思います。これは「すべてがFになる」から続く終わりなき物語ですが、やはりこの作品もボーダーを超越してきたな、という感想です。ミステリであり、現実が舞台であるはずなのに、ファンタジーで、SFで、全体で見ると曼荼羅じみていて、大河小説で、もう、何が何やら。このシリーズがどこに落ち着くのかを知るまでは死ねないな、という思いでいます。
ライトノベルは、今年は全く読まなかった。これはライトノベルを書こうとしている身としては、不徳の極み。しかしどうも、手が伸びない。路線変更の頃合いだろうか……、と思わなくもない。どうしよう。
漫画は「進撃の巨人」を最後まで読めましたが、何が何やら分かってない。読み直してもきっと分からないと思う。どこからどこまでが作られた世界で、どこが欺瞞で、どこが真実か、それが分からないのがこの作品の良さなんでしょう。
今年は永野護さんの漫画「ファイブスター物語」の新刊が出て、一安心。懐園剣の謎が明かされてスッキリした。そしてやっぱり、マキシ! これに尽きる! これは極端に難解で、マキシは、剣聖カイエンとミースの子供だけど、アウクソーの子宮を使ってて、バランシェが構築した自身の遺伝子情報が組み込まれ、カイエンの母親のクーンはバランシェそのもので、マキシはほとんどバランシェで、と、血筋の関係、遺伝子情報が混沌としている。しかしこれがFSS! です! 2022年も雑誌連載が続くのを願うばかり。
漫画といえば、「ブラック・ラグーン」の新刊も出ましたね。これも続刊が気になる。地獄へご招待。ダッチの経歴が気になるところ。
といった具合で、今年は何かと「続き」を意識する年だったかも知れません。2022年は具体的には「戦闘妖精・雪風」の新刊が出て欲しいなぁ。あとは、なんとなく「坂の上の雲」をもう一回、読みたくなってきたので、読み直すかもしれません。しかし段ボール一箱、未読があるのは、もはや見たくない……。
来年も読もう! とにかく読もう!
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