第173話 これはすごい時代が来たぞ

 今回は本の値段から始まる様々な物価に関する話。

 本を買う機会を無理やり減らして、手元の本を読み直したりしているわけですが、是非ともすぐ読みたい新刊、という奴がある。

 そこで、今回はとある海外小説の文庫本を押さえたのだけど、この一冊の値段が、1600円ほどでした。

 えーっと……、ハードカバーではないんですけど、本当に1600円でした。文庫が。

 前から「文庫本、高くなったぁ〜、高くなったなぁ〜、怖いな怖いなぁ」と思ってましたが、ついにここまで来ましたか。

 自分の懐とかも変わりましたけど、前は1600円のハードカバーを買い控えたり、1000円の文庫が高すぎると絶望したこともありました。正確には、絶望しながら買ったわけですが。それって本当に絶望か、という気もします、今は。

 とにかくもう、本の値段の上がり方がえげつない。800円で「お手頃じゃーん」と思いますからね。三桁は正義! と声を大にして言いたい。

 つい少し前、駒形友梨さんという声優の方が歌手活動のひとつでフルアルバムをリリースしましたが、これが12曲入り、しかしBlu-rayもDVDもつかずに、3850円(税込)です。いや、何年か前までは3300円とか、せめて3500円だったやん、と思いながら、一応は消費税が10%で、本体価格は3500だしな……、と謎の理屈、幻覚と幻惑を頼りに購入しました。「On My Way」のこのアルバムのためのリアレンジ、二番サビの後の間奏がめちゃくちゃ良いので、それだけで買った価値はあった、と思ってますが、なんか、まだ幻を見ているような気配がするな……。

 物価が上がるのは、たぶん悪いことではなくて、そもそもが今の30代より上の人は変な感覚があるのでは、と僕は思ってます。その感覚とは「安いのが正義」です。とにかく値上がりに嫌悪感みたいなものを持つ。でも実際のところ、消費者がお金を使わないとお給料は上がらないので、これは企業努力とかではなく、消費者が一つの大きな歯車となって、消費活動によって経済を回さないといけない時代なのでは。100円で済むところを200円出すことで、いずれ手元に250円が来て、というように。

 僕が利用するスーパーが、北海道産の玉ねぎを結構な額で売っていて、その理由が、天候不順で不作だから、なんですが、店頭に掲示があって「高騰しているので、他の商品などのご購入も視野に入れてください」みたいな内容なんですが、僕の感覚だと「高い玉ねぎでも、それを買って玉ねぎ農家を支えるのが正しいのでは?」なのですが、違うのかな。さすがに玉ねぎひと玉300円とか、出鱈目な値段なら無理ですが。

 本の値段が、例えば本好きが一年間に100冊とか200冊の本を買うことで安くなるとは思えないし、安くなることはないでしょうけど、このまま「究極の贅沢」になってしまうと、本好きは「本が読めない」ではなく「本が買えない」という理由で本当に減っちゃうだろうなぁ、と思いましたね。

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