第171話 不自然な警告
これは時折、感じることのある疑問のお話。
国の方から、例えば大地震の被害想定みたいなものが発表される。他にも人口統計などで、○○年後には高齢者が全体の○○%に、みたいな警句が出ることもある。これは果たして、どんな風に受け止めればいいだろう。
仮に首都直下型の超大地震がある、と想定して、事前に政府とか省庁の中心が、東京ではないどこかしらの安全らしい場所に移転することがあるか、と考えると、そんなことはないらしい。他にも、東京で商売している人はどうしたらいいのか。震度8くらいでも倒壊しないように建物を補強するのか。では、東京湾から津波が押し寄せたらどうなるのか。他にも、液状化現象が起こって、とか、帰宅困難者が、とか、そんな話も聞くけど、液状化を根本的に防ぐような対策があるとして、そんな対処がされた話はあまり聞かない。帰宅困難者への対策も、あまりはっきりしない。仮に首都直下地震が起きたら、何十万人が帰る場所を失って、さて、どこへ行けばいいのか。
じゃあ、こういった大地震にまつわる警告の意味とは何か、となると、心構えをしておいてくださいね、ということで、対策を取ってください、というところにまでは直結しないように見える。ここのところ、各家庭で防災用品を揃えておくようになったけど、変な話、核シェルターを持ってる家は僕は一人も知らない。対策はできる範囲でやる、という形以外に落ち着くところはないけど、「大地震で何万人もが亡くなるかもしれません」という警告は、個人の対策ではどうしようもないし、国も対策をするようでもないし、なんか、宙に浮いている気がする。
高齢化の問題もそうで、これはまったくの仮の話ですが、「二十年後には全人口の四割が六十五歳以上」とどこかしらの組織なり機関なりが予測を割り出したとして、なんとなく怖い気はするけど、何がどうなるのか、何をどうしたらいいのかは、まるで分からない。暗に、子供を作れ、ということなのか、それとも四割の高齢者を支えるべき労働力を確保すべし、ということなのか、あるいは年金や医療費が極端に圧迫されてしまう、ということなのか、まぁ、その辺りは様々な人が自由に主張できるけど、十人の集団の半分が老人だという世界は想像しづらい。正確には僕が生きている環境でははっきり言って老人しかいないけど、みんな自由に勝手にやってるので、高齢化が実生活にどれほど影響があるかは分からない。
あまり真剣にニュースを見てないけど、警告はたくさんあるものの、大半の警告は上滑りして、あっという間にどこかに消えてしまう。部分的には取り入れられて、当たり前にもなるんだろうけど。警告って、もっと真剣に聞くべきでは、と思いながら、僕は内心「そんなこと言われても」と困ったりするので、まぁ、やっぱり受け流してるかも。
ちょっと前に国際会議か何かの環境問題の流れで話題になった、海面上昇が続くと国土が水没してしまう島国の話は、なかなかユニークだった。例えばどこかの国が小さな領地を割譲してあげて、そこに新しく国を興せば良いような気もするけど、そうはいかないんだろうなぁ。しかし、すでに水没するとわかってるなら、何らかの対処法を模索して実行できそうではある。国際社会も温暖化を食い止めるより、島を水没させない土木工事をした方が手っ取り早いのでは。いや、あまり笑い話にしてはいけませんかね……。
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