第166話 素人のふりをし過ぎた……

 今回はラジオの話。

 僕の趣味はラジオ、読書、ジョギングです。ジョギングは安定して一定の量をこなせるのですが、ラジオと読書は難しい。ラジオはもうチェックする番組が多過ぎて、時間を取るのが限界。読書は勢いがつくと読めるけど、意外にノロノロ進むこともある。ラジオにメールするのも、最近ではあまりこなせず、歯痒いです。

 そんな中で、一応、一定の数が読まれてありがたいのですが、もう何年やってるかわからないくらいメールしてるので、あまり玄人っぽいメールはやめよう、とここ数年は思ってます。これは前もエッセイのどこかで書きましたね、書いた本人が忘れてますが。

 この「玄人らしくないメール」にはいくつかの手法があって、一番は「メールの最後を質問にしない」ですが、他にも、感覚的にたどたどしい、慣れていない感じを演出したりもします。

 これは僕の感覚ですが、ラジオにメールを送り続ける、ラジオで読まれるメールを聞き続けると、ラジオ用の文法、みたいなのが感じ取れます。メール一つの全体の文章の長さもそうですし、読点の置き方とか、そこから来る文章の組み立てとか、とにかくラジオ文化に則した表現という奴がある、ように見える。

 そこで僕がやってるのは、逸脱行為、なんですが、これがどこまでやっていいかは、分からない。分からないというか、こちらはとにかくメールを投げて、あとはスタッフさんが判断してください、と委ねるしかない。これはざっくりと言えば、ラジオにメールを投稿する人は、基本的にスタッフさんのフィルターを信用している、と言えると思う。もちろん、本当に何も知らない初心者は、パーソナリティの○○さんが選んでくれた! と喜ぶかもしれませんが、おそらく大半のメールはスタッフさんが選んでるのでは。ラジオの構造上、パーソナリティの新鮮な言葉を引き出すには、初見のメールで喋らせるのが簡単ですし。

 僕としても「スタッフさんのフィルター」は大前提で、こちらとしては、ダメだったら消してください! それで構いません! 恨みもしません! という気持ちです。ところがどっこい、たまにこのフィルターが機能しない(ように見える)ことがある。機能しないと、僕の強引な逸脱行為のメールが電波に乗ってしまう。

 もちろん、僕としてはパーソナリティの株を下げたいとか、番組をめちゃくちゃにしたいとか、そんな思いはひとつもなくて、単純に「ボーダーライン探し」とでも呼べる、臭い球を投げてるだけなんですが、申し訳ないやら、恥ずかしいやら、反省しきりです。

 ラジオ番組の楽しみ方と小説の楽しみ方って少し似ていて、ラジオを聞く人は多くても投稿する人は少ない。小説を読む人はそれなりにいても、書く人は少ない。ラジオの方が競争が激しい気もしますけど、とにかく、僕としてはラジオにメールを投稿する遊びで、やや遊び過ぎたかもしれない。

 それにしても「何もかもを知っているふり」はできないけど、「何も知らないふり」はできるものですね。そんな行為に何の意味があるか、全く分かりませんが。

 あー、ちゃんと、メールしなくちゃな。

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