第150話 どうにも気力が出ない、と言いつつ、批判はこうして書けた

 今日はだいぶ弱気なお話。

 近況ノートにも書きましたが、ネット上のライトノベル観に関する様々なやりとりを見ていて、だいぶ意気消沈してしまった。もうライトノベルとか何とか、そういう括りなんて無意味だし、変な枠組みを作ってああだこうだ言うの、読む方も書く方も興醒めするからやめて欲しい。もうカクヨムもツイッターもやめたいくらい、しんどい。

 そんなにライトノベルが気に食わないなら、読まなければ良いじゃないですか。買わなくたって良いでしょう。小説家になろうとかカクヨムとか、使わなければ良いじゃないですか。

 みんな書きたいものを書いて、読みたいものを読めば良い。自分はこれが好きなんだ! って言えばいい。自分はこれが好きだからあれは気に食わない! あれは良くない! なんて言わなくて、ただ「好きだ!」って言えばいい。

 売れなかったら本として価値がないかもしれないけど、読んで面白いと感じればそれだけで自分の中だけの価値はあるでしょう。誰にも見向きされない作品でも、評価されない作品でも、あなたが面白いと思えば、それだけで何の問題もないですよ。書籍化されてなくても、ランキングの上位じゃなくても、面白いと思えたら、誰も損しないですよ。

 カタルシスって表現は僕も使いますけど、強いも弱いもないし、ストーリーの終わりが見えようと見えなかろうと、面白いものは面白いですよ。一般文芸だろうとライトノベルだろうと、面白いものは面白いですよ。一般文芸を書いてる人も、ライトノベルを書いてる人も、とにかく読者を楽しませたいだけですよ。読者を都合よく操縦したい作者も、操縦できる作者もいないし、読者だってそんな簡単に操縦されないでしょう。

 理屈をこねる人がたくさんいますし、今のライトノベルのここが悪い、そこが悪い、っていう人は、今までに何を読んできたんだ? 例えば二十年前のライトノベルは良かったとか、そういうことを言うんなら、別に今の作品を読まなくて良いでしょう。二十年前のライトノベルを全て収集して、一冊残らず読み切ってから、今の話をすれば良い。これからのライトノベルを変えたいなら、まず自分で面白いものを書けば良いし、それが面白いのに何らかの理由で、誰かに邪魔されて世に出ないというなら、自費出版でもなんでもすれば良いじゃないですか。本当に面白いなら売れますよ。大手出版社の看板がないと売れないっていうのは言い訳です。

 それぞれの作者が、みんな同じところからスタートしてますよ。確かに生まれた環境に差があって、世の中には自由になるパソコンやタブレット、スマホがない人もいれば、本を読みたくても読めない人もいますが、そんなことは書かない理由にはなりませんし、書いてる人はしません。環境じゃなくても、時間が取れない人だっています。毎日八時間以上働いたり、家に帰っても家事で時間が潰れる人も大勢います。それでも、みんな一日は二十四時間ですよ。分かりますか? みんな道具がなかったり、時間がなかったり、どこかで不足を甘受して、限られたものの中で、何とかしようとしてます。あなたが切って捨ててる作品やジャンルに、想像できないほどのプロやアマチュアやそれ以外が、それこそ血と汗と涙を全て注いで、人生を投じて、必死になってますよ。

 僕もそれこそ全てを費やしてるつもりですけど、ただの外野や、誰かが、もしくは誰もが全てを費やしているものを、安全地帯で何も失わずにこき下ろしてるのは、やっぱり違いますよ。遊びで書いてる人も、趣味で書いてる人も、人生賭けてる人も、それぞれに必死ですよ。そういう必死さに口を挟むのは、不愉快だと僕は感じてます。そして、ジャンルを愚弄するような悪ふざけをして読者を陰で笑うような作品を投稿するのも違う。これは読者の愚弄でありながら、全ての作者への愚弄です。

 創作論とか、そういうのもいいんでしょうけど、書く人間は、自分が書いた物語で語るべきだし、読む人は物語を読んで自分一人の内側に生じたもので答えを出して、胸に収めるべきです。作者も読者も、そうやって物語を中心にした閉じた世界にいるべきで、離れたところから作者や読者を批判するのは、絶対に違う。

 正直、僕はほとほと、うんざりした。

 これはつまらない、と自分の中にあるものを思ってしまったら、書けないです。僕はもう、本当に閉じた世界に戻りたい。誰とも交わらない、一人きりで奈落の底に原稿を放り込むだけの生活に戻りたい。

 ネットは世間になったし、カクヨムもやっぱり、小さいのか大きいのかわからない集落になりました。僕はそういう場所には、あまりいたくはないですね。

 ワードソフトを手に入れて、足を洗おうかな。

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