第139話 漫画が読めなくなった! 嫌いになったのじゃなく!

 急に漫画が読めなくなったので、その話をします。

 とりあえずこれを書いているところでは、羽海野チカさんの「3月のライオン」と、太田垣康男さんの「機動戦士ガンダム サンダーボルト」の新刊が手元にあるのですが、これがなかなか読めない。時間がないとか、集中できない、というのではなく、どうも、情報をうまく整理できない、ということのようです。

 ここ数ヶ月、必死になって小説を読みまくっていたので、その影響なんでしょう。つまり、小説のような文章だけから全ての情報を読み取って脳内で構築することに慣れきってしまった。それが漫画の、セリフを読みながら、絵を見て、動きを構築する、という読み方がうまくできない事態を生んだようです。

 これにはほとほと、参ってしまった。子どもの時は小説より漫画の方が読みやすいし、どんどん読めるような気がしてましたが、今はまったく逆、正反対の自分がいます。小説の方が読みやすいし、複雑な情報が自然と入ってくる。

 僕の感覚だと、漫画はある種の総合芸術で、「ストーリー」、「キャラクター」、「セリフ」、「イラスト」、「演出」等々という感じの要素が高いレベルで必要になる気がします。でも小説は「イラスト」はないし、「演出」は、「ストーリー」や「キャラクター」に分散できそう。もっとも、漫画における演出、コマ割りや擬音のようなものも、小説には小説なりの演出手法がどこかにあることにはあるのですが。たぶん。

 この漫画の「総合」が今の僕にはやや重い。贅沢なんでしょうが、情報量が多すぎる。アニメはまだそんなこともないし、ドラマなんかも問題ない。バラエティも見れる。こうなると、漫画は、小説のように「読まないと作中の時間が進まない」媒体で、その上、人間は一つのことしか見えないので、テレビのように勝手な情報の方から頭に入らないことも相まって、実は読むのにテクニックがいるのかも。子どもの時はなんで平気だったのか、を考えてみると、「雰囲気」で読めたのかもなぁ、と思わなくもない。

 ちなみに羽海野チカさんの「はちみつとクローバー」も読みましたが、この作家さんの表現はなかなか難解で、読みづらいというか、描写を把握するのにコツがいる。情報がすごく多くて、面白いと思いますね。こういう漫画もあるのか、という感じです。

 そういえば、少し前に広江礼威さんの「ブラックラグーン」の新刊を読みましたが、こちらは比較的、楽だった。とにかくシンプル。見比べると、漫画の手法も多岐に渡るのが分かります。

 近いうちに永野護さんの「ファイブスター物語」の新刊が出るのが、非常に楽しみでもある。この漫画もシンプルなんですが、逆に設定が複雑すぎて、資料集を読まないと100%は楽しめない。と言いながら、僕は資料集は一冊しか持ってません。一冊数千円が何冊も出てるのは、うーん、流石に手が出ない。いつかは買うでしょうけど。

 かなり脱線しますが、「ファイブスター物語」に出てくるワード「剣聖」が僕の中では本当の「剣聖」のイメージなんですが、ここのところは「超帝國剣聖」というワードが出てきて、この作品でもインフレが発生するんだな、と思った。だいぶ良心的ですし、非常に上手いんですが。

 とにかく、漫画を読めるように、リハビリしなくては。

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