第135話 駒を下げることと、素人がやってしまう「無謀な寄せ」

 今回は将棋の話。

 将棋ウォーズで十分切れ負けで遊んでますが、今日の自分の指し方と、先週の「将棋フォーカス」の内容ですごい齟齬があって、それにちょっと背筋が冷えた。

 九月の「将棋フォーカス」の講座は木村一基さんが講師で、過去のNHK杯戦から名局を取り上げて解説していて、今月は最後の月ということで、木村一基対藤井聡太という、去年の対局がテーマ。自戦解説です。

 で、第一回はまだ序盤なんですが、手待ちをしたりするのはともかく、藤井聡太さんが繰り出した銀を下げたり、また繰り出したりしてて、駒をぶつからせないようにしている、タイミングを見ている、という場面があった。

 それは何気なく見ただけなのですが、今日、僕自身が指していて、不意に自分が「駒を下げる」ということをほとんど勉強していないことに気づいた。自分の指している将棋で、実際に今日は駒を一度下げて、結局、駒の交換の後に相手が間違えて、こちらが勝ちましたが、駒を下げるとどうなるか、いつ、どこへ繰り出して攻めるか、それが分からない。僕の中では駒を下げることがそのまま、手損、もしくは、後退、不利になる、という認識なんですが、藤井聡太さんも木村一基さんも、そうではない、というのです。

 僕の指し方が「極端な攻め将棋」という棋風と言ってしまえばそれまでですが、どうもそれだけではなく、間違った、勘違いした「無謀な寄せ」なんじゃないか、と考えてみると、なかなか興味深い。

 谷川浩司さんの「光速の寄せ」は素晴らしいですが、素人が細い攻めで攻める、あるいは攻めを繋ごうとすると、大概は失敗するのでは。素人こそ、念入りに囲うべきのような気がするし、力を溜めてからいざ決戦とするべきじゃないかな。

 駒を下げることを僕が知らないのは、駒を無理やりぶつけてでも、攻め潰せれば良い、という発想で、はっきり言って「寄せ」ではないし、「光速」というより、ただの暴走に近い。素人相手にはこれがうまくいく場面もありますが、力のある人、知識のある人は的確に対処してくる。

 僕が勝ちを拾ったのは、十分切れ負けにも関わらず、相手が早指しで失敗したからで、作戦勝ちでもないし、相手のささやかな間違いからだった。その間違いは読みを入れれば回避できた。それも三十秒くらいの読みで。結局、無謀な攻めは混乱は招き寄せても、勝利は招き寄せられないのでは、とひしひしと感じました。

 しかし相手は六連勝中の四級だったので、勝てて良かった、とほくそ笑んだりもする。性格が悪いったらないですね、僕も。しかし、そう易々と三級にさせてなるものか。

 いい加減、自分らしい戦い方、自分に合った指し方を忘れてるけど、自由にはなった気もする。勝ちたいけど、柔軟に指せる。さて、この強味がない指し方は、どこまで通用するのか。早く四級にならないと。暇を見つけて頑張ります。

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