第116話 うーん、どうして悪いのか、を説明しないと

 NHKスペシャルで、人工知能とかサイバー攻撃について取り上げた回を見たのですが、難解というか、主張がわかりづらかった。

 最初、人工知能を搭載した自爆ドローンについて取り上げていて、この自爆ドローンの攻撃に生き残った兵士が「1000人いた部隊はほぼ全滅です」と言っていたのですが、この1000人全滅を、どう捉えればいいのか。ドローンが1000人を殺すのはいけなくて、人間が1000人殺すのは当たり前、ではないはずなんだけど、どうにも座りが悪い。

 そもそもこの自爆ドローンが明らかに軍事力が高くない国同士の戦闘で使われているので、自爆攻撃ドローンの本当の問題点は殺傷能力や、人工知能による精密さよりも、もっと別にある。それは自爆ドローンで先進国の中枢やインフラなどの重要施設を攻撃したらどうなるか、ということを僕は考えた。

 凄い展開だけれど、仮に議員宿舎みたいなところにドローン攻撃を仕掛けると、たぶん、ドローンの飛行には許可が必要な敷地内なので、それでも気にする人はいるだろうけど、その時には爆薬ごとドローンは建物に突っ込んでいる。では、何らかの妨害電波で対処できるかと言うと、人工知能を搭載すればスタンドアロンで、カメラの目視でターゲットに向かうだけのこと。

 つまり人工知能を搭載した兵器に、どこまで自律的に判断させるか、目的を指示した側から作戦行動を止められるか、というような安全装置は重大だけど、その時には戦場はまた変わっているでしょう。

 戦場はドローン同士が戦い、戦車は人工知能が運転して、照準を定め、砲を打ち合うことになる。つまり、人間の兵士はもう戦場ではリスクしかないので、居場所を失う。戦場にいるのは整備士くらいだろうけど、ただ今度はこの整備施設が徹底的な攻撃の対象になるか。

 戦争は人工知能同士の争いになるかもな。

 それとサイバー攻撃についても話していたけど、サイバー攻撃の萌芽のようなものは、2030年などと言わずに、すでに2015年辺りにおかしな方向に分岐して、ネット上はサイバー攻撃ばかりになった気がする。サイバー攻撃の戦場は、例えばスマホなどのメディアなんだけど、実のところは各個人、全人間の心の中にある、信じるべき情報、疑うべき情報、全くの嘘、というように分類したり、分析できれば、それで激しいサイバー攻撃には一応は耐えられるようになるかもしれない。

 ついこの前も、ティッシュペーパーがなくなる! と騒いだ人が大勢いて、とんでもなくなったけど、あそこで情報に疑念を持った人、嘘だと見た人は騒がなかった。

 今回のNHKスペシャルは騒ぎ立てるだけで、どうしていけばいいか、がわかりづらすぎた。

 ドローンに自爆攻撃させるのはいけないけど、武装勢力同士が普通に戦うことには「いけないことです!」と強く言えないとしたら、ちょっと捩れがすごすぎる。

 そういうことをつらつらと思った。


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