第105話 インスタント麺の値段から考えた、ささやかな「投資」

 なんとなくここのところ、インスタントの袋麺を買ってるのですが、近くの量販店で五袋入りがおおよそ四百円くらいで買えるのが、安いのか、高いのか、それがもうよくわからない自分がいる。

 僕が前に真剣に袋麺の値段を検討して買ったりしたのは十年以上前で、その頃の値段をすっかり忘れてしまったので、簡単に比較できなんだけど、どことなく割高に見える。とりあえずカップ麺の値段は当時と比べると数十円は値上げしているように感じますが、如何に。袋麺って五食で三百円くらいだった気もするけど、はてさて、どうだったか。

 現在での袋麺の値段を店頭の商品で比較すると、チキンラーメンはやや割高で、これも意外。チキンラーメンはなんとなく安い商品って感じだったけど、あれは錯覚だったのか? ちょっと困惑したのは、マルちゃん正麺という商品が七、八年前に登場した時、かなり美味いけど値段は割高、という感じだったはずが、今はそれほど割高な値段設定ではない、ということ。むしろ他の袋麺と大差ない価格帯で、当時のあのムーブメントは何だったのか、と思わなくもない。

 この値段の高い安いの混乱が、あるいは商品、袋麺の全体での値段設定が上がったせいなのかな、という気もするけど、何がどうして上がったのかはちょっとよく分からないなぁ。技術が進歩して、おおよその商品が同水準の味になって自然と安い商品が淘汰されて値上がりしたように見える、だと良いかもしれないけど、技術が当たり前になってコストがかからなくなって、ただ値段を抑えられて、実は値上がりではなく、上位の商品が値下がりした、だと、ちょっと怖いかな。会社がもっと儲けて、さらなる改良に必要な資金を得て欲しいということを僕は考えるけど、商売はそんなに簡単でもないんだろうか。

 値段全般、値段設定がややこしいのは、コンビニの存在がきっと大きくて、量販店との間で値段差があることも、消費者の、商品の価値の理解を難しくしているような印象も受ける。例えばコンビニだと袋麺は一袋単位で売られるし、その一袋で余裕で百円を超える。カップ麺も同じ商品なのに、コンビニとスーパーで場合によっては数十円は違うのでは。量を仕入れて量を売れる、となれば自然と値段は下がるけど、そんな簡単に片付けてると、足元を掬われそう。何かに。何に?

 そういうコンビニの事情を加味すると、最近流行りのコンビニのオリジナル商品って、量販店との競争で生まれて、育まれた商法なのかもなぁ。

 話は変わって、学生時代、頻繁にカップ焼きそばを食べていたけど、この前、思い立って買おうとしたらいやに高価に感じられて、学生時代によく大量に買えたな……と静かに驚いたりもした。今の方が経済的に余裕があるはずが、ほんの些細な値段に囚われているのも、おかしくはある。

 ものの本当の値段がわからない時代ではあるけど、どんな買い物も「投資」と考えるしかないんだろう、と思ったりもする。

 僕が食べ物より重視する「書籍」は、ついに文庫一冊千円、ハードカバー一冊二千円の時代でしょうからね。読書は正気でできる趣味ではなくなった。

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