第97話 何かの陰謀、か……?
僕はブックオフ信者で、大抵、そこで欲しい本を狙います。狂信者といっていいかもしれない。学生時代は歩いて行ける距離にある二軒を週三で偵察したし、少し前は東京へ遊びに行くと大相撲を見に行っていたのに、行きで秋葉原のブックオフを見て、帰りに新宿東口のブックオフに行っていた。新宿東口の店舗がなくなったのが悲しい。
前にたぶん、どこかの記事で書きましたが、僕が利用するブックオフでOVA「戦闘妖精雪風」のDVD五本セットが何故か五百円で売られていた。つい先日、その同じ店で、とある新しめの文庫本上下巻が一冊百円で棚にあって、これは流石に……、と買ったものの、何かの陰謀かとも思う。例えば店員がわざと値段を安く設定して、棚に紛れ込ませて、そうとわからないうちにこっそり購入する、とか。いや、そんな犯罪行為をする必要はないんだけど。
この値段設定の謎は中古になるとままある。あとネット通販。中古は店舗によって値段がまちまちで、これは「せどり」みたいなことが容易にできそうだけど、たぶん、ど田舎だからこういう値段の齟齬があるはずで、都会に行くと競争が激し過ぎて値段に神経質になり、「せどり」はほとんど成立しないのでは。まぁ、今の「せどり」はそれこそブックオフで百円で買ったものをネット上で百円以上で売れば簡単に儲けが出るので、お手軽な、しかし読書家からするとやや眉をひそめる感じではある。
ネット通販の「やっちまったな」と思う場面は、商品を検索していると、明らかに値段を入力する時に最後の「0」をつけ忘れたらしい値段になっている時で、これは売っている側からすれば卒倒するはず。売りたい額の一割で商品が売れてしまうのは、ちょっと動けなくなるような衝撃では?
今回の百円の文庫は、値札がバーコード付きだったので、打ち間違いではなく、あるいはブックオフに激しい在庫不良が発生して、どんどん売りたいのかも。しかし百円は安すぎるけど。
この買い物をした時、なんとなく申し訳ない気がして、もう一冊、百円の文庫本を買ったのだけど、誰への言い訳だったのかは、全くの謎として残されました。
それにしても、古本っていうのは作家さんにまったく、一円も入らないから、出版業界にはまったく利が生まれないのが、難しい。ついでに新型コロナで書店の利用が減ると、紙の本なんて本当に絶滅してしまう。つい最近まで、電子書籍は印刷、製本、配達などなどの料金が発生しないから出版社も作家もウハウハだろうと思っていたけど、これからは電子書籍は紙の本より安くなり、結果的は出版社も作家もそれほど儲からなくなり、むしろ製紙会社や製本業者、書店が極端に圧迫される時代が来るのでは?
僕は二百円で何を買ったのか、それを考えると、少し怖くもある。その二百円で誰が得をしたんだろう?
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