第87話 音楽について語ってみる

iPhoneとiPodのバッテリーが同時にダメになって、新しいiPhoneには手元のCDの中のほんの一部だけを入れています。理由は面倒というよりは、大量に入れると聞かれないままになる曲が増えすぎるからです。

さて、僕はかれこれ15年くらい前、サンボマスターを追いかけていた時期があって、最近は追えてないのですが、結構、名曲が多い。

サンボマスターは初期楽曲と今の作風がすごく変わったバンドで、僕はどちらも好きですが、転換点は「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」辺りになります。「心音風景」は初期に近いテイストです。アルバムで言えば「僕と君の全てをロックンロールと呼べ」が一つの目安ですね。

名曲とは何か、となると、すぐ浮かぶのは「ラブソング」です。アルバム「きみのためにつよくなりたい」に収録されていて、一曲目の、バラードです。このアルバムでは「できっこないをやらなくちゃ」とか「世界をかえさせておくれよ」とか、現在に通じるテイストの曲が強いのですが、「ラブソング」はそれとは少し違う、深すぎるほどに深い感情が感じられます。切なくて、大切な感情が手元にあるような、それでいて深いところに響く普遍の感情がこもっているというか。わかりづらいですね。

このアルバム「きみのためにつよくなりたい」は二曲目の「あなたといきたい」も強くて、一気に飲み込まれる。間違いなく、名盤です。

僕がサンボマスターの存在を本当の意味で知ったのは、アニメ「働きマン」を見てる中で、挿入歌でサンボマスターが使われていて、なんだこの曲は! となった数週間後にはアルバム「僕と君の全てをロックンロールと呼べ」を買ってました。そしてそれから数年後、たまたまチケットが取れた渋谷でのベスト盤発売に合わせたライブに行くわけです。あれは良くも悪くも、僕の中で何かを切り替えたと思う。サンボマスターのイメージが、そこでバチッと変わるんですよね。僕の中のサンボマスターは、ベスト盤「究極ベスト」の前で一区切りで、その後はまた別のバンドというか。嫌いになったわけじゃないんですよ。好きなんです。

さて、この転換を軸に前期と後期に分けるとすると、前期では「そのぬくもりに用がある」、「歌声よおこれ」というシングル曲が強い。後期では「ロックンロール イズ ノット デッド」、「静かに光り続けるもの」、「時間をとめるラブソング」が好きですね。

これはもう最近はないのかもしれないけど、ギターでボーカルの山口隆さんがステージを転がるパフォーマンスは、やはり良かった。テレビの中でも、目の当たりにすると笑うしかないし、それって、最近の言葉で言えば、「テンション爆上がり」って感覚なんですよ。もう笑うしかない、叫ぶしかない、みたいな。

僕は音楽は一応、広く浅く見てるつもりですが、サンボマスターはかなり特殊ですね。支えで、柱でありながら、屋根になって、今はその天井が高すぎて、夜空みたいに遥か彼方でたまに星が瞬いていて美しい、みたいな。

サンボマスターだけは、僕の中では、うーん、震え続ける小石みたい。たまにその震えが発する音に、耳を澄ましたくなる。そしてその音に、何故か安心する。

かけがえのないバンド! ということです!

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