第47話 人格の変化
過去を思い返すと、子どもの時は些細なことでゲラゲラ笑えたし、勢いこんでまくし立てたり、はしゃぐことができた。それが大人になると、どんな話題でも淡々と話して、ちょっと笑みを浮かべたり、短く声にして笑うだけになった。
大人になったといえばそうなのですが、この人格の変化には、どことなく心が死んだのではないか、と感じることがある。涙を流すほど笑うこともないし、誰かと笑い合うこともなくなった。黙っていることの方が楽になってしまった。落ち着いた、というよりも、どうしても何かを切って捨てたような気がする。
この人間性の欠如がまだ致命的ではないと思えるのが、好きな物語に接すると、そこに感情移入した僕ではない僕が、自由に振る舞って、笑って騒いで、つまり作品の中に幻の、ぼくの人間性を肩代わりする人間性があるがために、まだ僕にも人間性が備わっている、と錯覚できるから、というなんともしょっぱい理由しかない。
何かに触れても心が動かなくなったら、終わりだな。表情や仕草、雰囲気はどうでもいいから、心は常に柔らかくしておきたいものです。
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