第33話 現場向きではない自分
僕はそれほど経験がないですが、声優さんのライブに数回、参加してます。横浜アリーナ、日本武道館、その辺りが大きい会場で、渋谷O-EASTなんかも行きましたね。
そんな経験の中で強く実感したのが、僕はライブを楽しみに行くというより、CDと同じ歌を生で聞きたい、という願望でライブに参加している、ということです。これが、出演者の技量云々よりも、他の観客の存在でほぼ成立しないので、僕の考えははっきり言って「家でおとなしくCDを聞いているべき」という、ライブ向きではない嗜好、ライブを否定する発想なんですよね。
ライブ会場にいて感じることは、他の観客から浮かないようにしよう、とか、コールを入れ間違えないようにしよう、とか、ペンライトやサイリウムをちゃんと揃えて動かそう、とか、そんなことばかりになって、音楽がうまく楽しめないのが実は受け入れがたかった。今になってみると、その観客の熱狂とか、一体感みたいなものがライブの楽しみなんですが、僕はどうしても馴染めないらしい。
小さいライブハウスだと、そんなことはなくて、50人くらいのライブハウスは、むしろ居心地がいい。音楽の種類もあるのですが、誰も声をあげないし、ちょっと手拍子するくらいで、あとはじっと席について聞いている、みたいなライブはすごく良かったと思い出せる。
音楽とは何か、というものがあまり議論もされない現代ですが、録音技術がなかった頃は、まさにライブしかないし、ライブで聞くしかなかった。観客は聞く存在で、観客全員が目の前のパフォーマンスを見にきていて、自分たちは息を潜めてそれを見守る、という姿勢だったと思う。現代的なライブが悪いわけじゃなくて、僕の中にある発想とは違う、全く別種の楽しみ方があって、それがしっかり市民権を持ってる時代がやってきた、ということです。
ただ、最近、無観客のライブ配信が行われ始めて、これが僕には合っているかもしれない。観客の声がないし、自分一人と画面の中だし、最高なのでは?と思い始めた。うーん、ちょっと環境が整ってないので、うまく利用できてないのですが、機会があれば確かめたいところです。
僕の中の理想のライブは、ライブというより、リハーサルかな、とか思ったりもしますね。CDを聞く時は基本的に一人で聞くので、ライブも、生演奏と生歌唱を一人で聞きたい、というのが最大の願望です。
まぁ、そんなことが現実になるわけがないのですが。
ちなみに田村ゆかりさんのライブに行った時、「星降る夢で逢いましょう」という曲をアコースティックでやって、みんなが静かにそれを見守ったシーンは、すごく良かった。あれは感動した。
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