第4話

「先輩、もう完全に元に戻りましたね!」

「ああ、迷惑かけてすまないな」


 後輩の言葉に反応して、僕は申し訳なさそうに頭をかく。


「いや、大丈夫ですよ。いつも俺の方が迷惑を掛けてますから」


 首を横に振る後輩に僕は安堵して彼の肩を叩く。


「お詫びとして今日は呑むぞ。私の奢りだ」

「やった!俺、焼き肉食べたいです!」


 後輩と私となった親友が楽しそうに話している。親友は私に気が付くと優しい笑みを浮かべて小さく頷いた。

 これからの人生は彼に任せよう。


「あなた」


 私が振り向くと妻が私を呼んでいる。

 私は妻に近付いて抱き締め、彼女の温もりに触れる。

 嬉しそうに私の胸に顔を埋める妻を愛おしく感じながら、静かに目を閉じる。


「愛しているよ」


 私は何度も妻にそう告げて悠久の時をこの二人だけの世界で過ごすのだった。


 終わり

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道化の嘘 考作慎吾 @kou39405

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