第4話 大討伐編

結局僕は床に毛布を敷いて寝た。


ネロも遠慮したが何とか折れてくれた。


朝食を済まし早速ギルドに行くことにした。


ギルドに着くと、既に沢山の冒険者達がいた。


(みんな大討伐で集まってるんだ。)


掲示板を見ると大討伐の募集があった。


「ようこそ。冒険者ギルドに。ご要件はなんでしょう?」


「あの大討伐の補給部隊に参加したいのですが。」


受付は無事済んだ。


「はい。スーロさんとネロさんですね。

ここにサインを。」


サインを書き終えた。

ちょうど明日の討伐についての説明をまとめてしてくれるようだ。


でかい図体のおじさんが壇上に上がる。


「諸君明日は大討伐だ。今のところ確認されているのはF級~~~E級モンスターのみだ。だが何せ数が多い。油断して命を落とすことがないように必ず3人以上のパーティーを組んでくれ。ドロップしたゴルとアイテムは各人倒した奴が取っとくように。雑魚1匹この町に入れるな。ご武運を祈る。」


「「うぉーーーーー!!!」」


(すごい熱気だ。)


「あぁ忘れていたが補給部隊は前線に決して出ないように。死んでも責任は取らん。もちろん護衛はつける。安心して自分の仕事をこなしてくれ。」


(あれがギルドマスターか、すごい覇気を感じる。)


これからモンスターが来る戦場に行き、

下準備をするらしい。大方出来ていているらしい。



僕達は食料、水、寝袋の準備、怪我人を運んだり手当する。 僕は回復魔法が使えないので怪我人を運ぶのが主な仕事だ。


今は特にやることはない。


「スーロ君大丈夫かな?ここに強いモンスター来ないかな?」


(そうだよな、こんなこと初めてだし怖いよな配慮が少し足りなかった。)


「うん。大丈夫。護衛の人もいるし。前線はここから2キロだしね。もしもの時は僕が守る。」


「っ!!ありがとっ!」


(なんか僕とてもカッコつけてしまった。今思うと恥ずかしい。)


「そこっ!イチャついてんじゃないよ」


(怒られてしまった。)


ちなみに今怒った人はライさん


ベテラン冒険者だ。護衛の仕事についたらしい。


「「すみません...」」




ちょうど昼になったぐらい。


「ギルァーーー!」


モンスターの声が聞こえた。


「まだ昼だってのに何事だい?」


ライさんが呟く。


冒険者の1人が大声を出して叫ぶ


「大変だ!リザードマンが有り得ない速度で接近中!!」


「死にたくない」「おしまいだ」


(リザードマンはC級モンスターってじいちゃんに聞いたことある。)


「戦える冒険者は戦えない奴を守りな!ここは私が指揮を執る!」


ライさんが呼びかける。


「ネロ!僕のそばを離れないで。」


「うん!」


(ライさんがリザードマンを倒すと微成長でレベルが上がるだろう。微成長でも経験値増 (極大)で15倍になるのかな?今のままでは勝てない。)


「サンダーボルト!!」


ライさんが戦っている。でも今の僕にできることは....


「補給部隊の皆さん落ち着いて下さい。リザードマンは強いので3人から4人組になって。倒すことを考えず生きることを考えましょう。きっと助けが来るはずです。」


「ギルァーー!、」


(もう...!)


リザードマンが1匹近ずいてきた。

僕はナイフを構えると皆に円になるように目線で合図する。


「ギャルギャルァ?」


(明らかに舐めている。相当強いぞ)


ジリジリと距離を詰められる。


「ひぃ」


誰かが悲鳴をあげた。


それを合図にリザードマンが長剣で切り込んでくる。


ピロン


僕は前に出てナイフで受ける。


「うおおお!!」


ガキィン!!


鍔迫り合いになるはずもなく一気に押し込まれる。


ピロン


「ギァハァ!」


かろうじて受け流す。ほほをかすかに剣がかすめる。


「スーロ君!!」


(スピードもパワーも桁違いだ。相手が舐めているからまだ死んでない。)


リザードマンが1太刀振るうごとに切り傷が増えていく。


体が熱い。きっと僕が倒れると、ネロや補給部隊は殺されてしまう。


ピロン


ピロン


ピロン


1秒が長い。どんどん長くなる。後ろでネロが何か言っている。聞こえない。


グサッ...


僕の足に長剣が刺さる。


(あと少しだけ、少しだけ時間があれば。)


気づけば長剣が目の前に迫る。


(まだ死ぬ訳には行かないのに!)


バシ!


目の前には仰け反ったリザードマン


(ここだ!)


「うぉーーー!!」


グサッ


ナイフでリザードマンを刺す。


浅い!


「「今だー」」


補給部隊の面々がリザードマンに武器を突き刺す。


「ギァーー!!ーーー.........」


倒した!!


ピロン

いつの間にかレベルが上がっていた。


終わった。


皆喜んでいる。

ネロが泣きながら抱きついてきた。


「私を守ってくれてありがとう。私よりスーロ君の方がステータス低いのに。私怖くて動けなかった。」


「いいんだ。みんな生きてて良かった。」


そっと肩をなでおろす。


「大丈夫かい?」


そこにはボロボロのライさんがいた。


「あの時魔法の援護がなかったら死んでました。」


僕は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。


「私は援護なんてしてないよ」


「えっ?」


「お礼ならそこのお嬢さんにいいな」


そう言いながらネロを見る。


「私は間に合わなかったんだよ。そこのお嬢さんが魔法が使うところは見えたがね。」


(そうかレベルが上がってネロは攻撃魔法を覚えたのか)



「ネロありがとう。君に救われた。」


頭をなでたら笑ってくれた。


「あの時は無我夢中で、結果倒せて良かったよ」


「だからイチャつく....まあいいわ君達が倒したと言ってもいいからね。お疲れ様。」


ライさんが労ってくれた。


「リザードマンは倒した。前線の冒険者もだいぶ手伝ってくれた。だから前線の方が今少しやばくてね。」


(そうだったのか)


予期しないリザードマン達の襲撃でだいぶ

冒険者が戦線離脱してしまった。


(誰かモンスターを操っているやつでもいるのか?)


僕は足に回復魔法をかけて貰いながら考察する。


「大変だぁーーーー!!」


冒険者が大声で叫ぶ。


「前線の冒険者が皆モンスターに殺されました。こちらに向かってます!」


絶望の報告だった。






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