真夏の夜の夢 改

愛妻家

プロローグ

 とある人間界の片隅に、2組のカップルがいた。

 

 まずはヘレナとデメトリアス。この2人は大学時代に出逢い、デメトリアスからの告白で2人は無事恋人同士になった。そして、同棲をし始めた–––のだが。

 それぞれの素性が明かされ、ついには……。

 「おrrrrrrぁ!!!!」

 「きゃああああああ!!」


 このように、暴言と悲鳴が絶えないカップルになってしまったのだ。どうしてこうなってしまったのだろうか。ヘレナもヘレナで別れる気はさらさらない。困ったもんだ。


 そして、お次はハーミアとライサンダー。この2人は高校時代に出逢い、お互いに一目惚れをし、ハーミアがどんどんアプローチをした後、付き合い始めた。こちらも今は同棲している。


 このカップルは笑顔が絶えない素敵なカップル–––という印象を周りからは受けているが……。

 

 「ライサンダー、ちょっといいかしら?」

 「ん?何?」

と、ライサンダーを呼び、ポケットから写真を取り出す。

 その写真には、ライサンダーと知らない女が宝飾店にいる様子が写っていた。

 「ああ、これは同じ職場の後輩だけど。」

 「嘘よ!私、聞いたわよ。用事があったから詳しくは聞かなかったけど『付き合って3年目の記念日だから、ちょっと奮発しちゃおうかな?』とか言ってたじゃない!」

 「実は……。」

といって棚から袋を取り出し、ハーミアに渡す。

 「付き合って3年目だろ?その後輩とは、ハーミアに似合う素敵なネックレスを探してただけなんだ。」

 「ライサンダー……。」

 「ハーミア……。」

と、名前を呼び合いながら抱き合う。


 こっちはこっちで怖すぎる。ただ、これだけでは終わらない。


 「ヘレナ、いい加減諦めろ。」

と、バカスカ殴りながら言う。

 「嫌だ!別れたくない!ハーミアにはライサンダーがいるじゃない!」

 「ライサンダーなんかどうでもいい。ご両親とも話はついている。ヘレナ、君とは終わったんだよ。」

 「……もっと殴ってほしいの。」

 「君は俺の欲求処理に過ぎない。んじゃ。」

 パーンと最後に派手なパンチをくらわす。

 「……ふっ。ふふふ。あはははははは!!!もっと…もっと殴ってほしい!!待ってよデメトリアス!!」


 なんと、デメトリアスはハーミアを好きになっていた。今度は欲求は関係ない、純粋な恋心である。なおさら困ったもんだ。ヘレナはデメトリアスを追いかけるつもりだ。

 こりゃ修羅場の予感がするな……。

 



 


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