第5話 エピローグ

 王様は馬を走らせながら考えます。


 お后様はいつも心配ばかりしていました。お祝い会を開くときも、王子の指が自分と違うことがわかった時も、こびとの仕掛け箱のときも……。

 王様はお后様の心配事を解決してきたつもりでいました。ですが、お后様の本当の心配は全く別のところにあったのです。

 

 お后様には、『失せもの探し』という人にはない不思議な能力がありました。外見さえも変わってしまう能力を王様は正直怖いと思いました。お后様も隠そうとしていたので呪われたものだと思っていたにちがいありません。


『もし、可愛い王子が魔法使いに呪われてしまったら……』

『……呪われているということは……』


 お后様の震えるような声が耳に聞こえてくるようです。もっとあの時の言葉を別の解釈をしていればよかったのかもしれないと王様は後悔しています。


 こびとの仕掛け箱については、王子を攫った天文部の若い研究員が犯人でした。しかし、その供述には意味不明な点が多くて王様も近衛も頭を抱えています。こびとを見た時お后様は『責められている』と言っていました。『交換』だとも。あの絵本は、こびとがお后様から何かをもらう代わりに藁を金に変えます。もしかしたら、本当にお后様はこびとと取引をしたのかもしれません。




 ある神殿で、当たる確率の高い『失せもの占い』をする老婆がいるという噂が耳に入りました。







 王様は会いに行こうと決心しました。なぜかって?

 そりゃ、王様がお后様をとても愛しているからですよ。



                               おしまい




********



参考文献:

「ルンペルシュティルツヘン」 おはなしのろうそく12 東京子ども図書館

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

心配症なお后様 一帆 @kazuho21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ