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最近、なかなか寝付けない。いよいよ、プロになってから初めての対局が近づいてきているのだ。
フリークラスの棋士は、順位戦を戦えない。そのため、対局数が他の棋士より少なくなるし、予選で負けるとすごく暇になってしまう。さらに、期限内に良い成績を残さないと、引退しなければならない。1局1局が鬼勝負なんである。
そんな中、「詰みがアルパカ」にこんなリプライが。
<詰まないぞヘタクソ! ほんとに5手詰か? わからない!>
たまにこういう攻撃的なことを言ってくる人はいる。無視するかブロックするのがいいのだけれど、公式マークがついているのが目に入った。いったいどんな有名人かと思ったら……なんと元横綱
「え、え、どういうこと?」
「兄様、あからさまにうろたえてどうしたんですか?」
「鷹昇龍からアルパカにリプライが来た」
「え、あの元ネタの人?」
「なんだ元ネタって」
「『#ネタ将龍の決り手』っていうタグあったじゃないですか」
「そういえば」
美鉾にとっては、偉大な元横綱という感覚はないようだった。
「すごいですね。この人自身が面白そう」
「破天荒な力士だったよなあ」
こわいけれど、ほっとくのもいけないだろう。気づいた人が話題にし始めているし。
<3手目が見えにくいけれど詰むでアルパカ>
引用リツイートをしておいた。すぐにリツイート、いいねが付いていく。さすが元横綱、インパクトがすごい。
<それが見えないんだよ! この玉は鬼だこのヤロ! アルパカはジンギスカンにできる?>
すぐに返信が。とんでもないことを言ってきた。アルパカはジンギスカンにできないと思います。
<ヒントは最初の形に邪魔な駒があるかも、でアルパカ。あと、食べないでほしいでアルパカ>
<わかった! ヒント助かった。次の問題も解くよ>
<よかったでアルパカ! またよろしくお願いするでアルパカ>
緊張しながらのやり取りだったが、何とか丸く収まったようだ。
そしてこのやり取りは、「元横綱鷹昇龍アルパカと乱闘も和解」というネットニュースになってあっという間に広まってしまった。なんてこったい。
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