#大統領もネタ将
3-1
5番勝負の2局目が近づいてきた。
5番、というけれど、3連敗したら3局で終わる。なんとしても、次は勝たないといけない。
正直、相手の方が強い。ずっと強い。でも、だから勝てない、じゃ駄目だ。私の目標は、タイトルを獲って、男性棋戦に出て、編入試験を受けること。そのためにも、一つ一つ実績を積み重ねないといけない。
最近は、あんまりネタ将はできていない。悔しいけれど、頭がそっちにシフトしないのだ。一年中良質なネタを創り出す人たちは、どんな厳しい修行をしてきたのだろう。
「あ、また来てる」
DMが来ていた。何度か送ってくれている人で、私が女流棋士であることを公表する前から交流がある。ただ、こちらからすぐに返事を出すことはできない。相手が外国人で、中身は英語なのだ。しかも相手も英語は母国語ではないらしく、お互い苦手な英語でやり取りをしているのだ。
最近は機械翻訳も発達したので、だいたい何が書いているかはわかる。
<元気かな、ハナコ!
あなたがチャンピオンに挑戦するなんて、本当に興奮しているよ。私はずっと応援している。そして、あなたの面白い投稿も相変わらず待っているよ。日本語も勉強し始めたよ。コンニチハ、ドウモヨロシク、ジョバンチュウバンシュウバンスキナイネー。いつか私もあなたのようなネタ将になりたいよ! あとね、今度日本に行けそうだよ!>
彼女の名前はリーカというのだが、本名と関係あるのかはわからない。そもそも勝手に女性と思っているだけで性別も年齢も不明。でも、ずっと私を励ますメールを送ってくれるので、いつも元気にさせてくれる。
返事を考えるのも楽しい。伝わる内容で、それでいて私の英語力で何とかなる範囲で。彼女とのやり取りをするようになってから、英語の授業も真面目に聞くようになった。
とはいえ、将棋の勉強もあるし、夜はしっかり寝たい。続きは、明日にしよう。
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