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「え、老人がネタ将になる方法?」
悩みぬいた挙句、また加島君に電話してしまった。困るといつもそうしてしまうので、反省はしているのだけれど。
「一般論よ。一般論」
「別に特別なことじゃないんじゃないでしょうか」
「どういうこと」
「将棋を楽しむ延長線上にネタ将があるという。年齢とか性別とか関係ありますかね」
「そうは言っても73歳よ」
「具体的ですね」
「……73歳ぐらいだったとして。どうすればいいかしら」
「うーん、参考になるかわかりませんが、美鉾は古い雑誌を借りて読み込んでいました」
「古い? どこにあるものなの?」
「武藤さんがいっぱい持っていて。ベテランの先生なら結構あるんじゃないでしょうか。あとは……国会図書館とか」
「え?」
「結構いるみたいですよ、資料集めのために通う人。連盟の記録のミスとかがよく指摘されてます」
「ネタ将になるために国会図書館に行くのはおかしすぎない?」
「そうですかねえ」
「なんにしても、あんまり外にも出られない状況だから」
「一般論として?」
「一般論として」
「大相撲とか」
「大相撲?」
「うん。ほら、ネタ将龍っていうタグが流行ったことあったでしょ」
「あったかしら……」
「あったんですよ。ああいうの、やっぱり若いとわかりにくいですから。老人ならではの知識と将棋の組み合わせ。これで独自路線を切り開いていくのはどうでしょう」
「老人ならではの知識……明治維新とか?」
「いや、73歳そこまで昔じゃないでしょ。でも、新選組と絡めるとかいいかもしれませんね」
「おじい様、そういうの詳しいかな……」
「おじい様」
「一般的呼称よ、一般的」
総合すると、ネタ将になるには様々な知識が必要で、それを有益なことではなくいかにネタに反映させるかということが大事なようだ。
おじい様にそんなことさせていいのだろうか。
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