1-7

「なんじゃこりゃー!」

 アルパカのカウント開設の翌日。フォロワーも順調に増えていたが、その中にいくつか変なアカウントが。


<詰みがナイルワニだワニ>

<必至がアルマジロだマジロ>

<頓死したビラメだヒラメ>


「派生アカウントがいっぱい出てきましたね」

「どこまで楽しもうとするんだ、将棋ファンよ」

「でも、だいたいそのうち放置されるんですよね、こういうアカウントは」

「そうなのか」

「botになって同じことを言い続けるとか……」

「こわい」

「兄様はそうならないように気を付けましょう」

「うん」

 大きくうなずいたその時、電話の着信音が。福田さんからだった。

「もしもし」

「……何か言うことは」

「えっ」

「励まされてもへこむけど、無視されたらもっとへこむでしょ! なんかないわけ?」

「あ、いえすみません。しばらくはそっとしておいた方がいいかと」

「棋譜見た?」

「はい、見ました」

「次勝てると思う?」

「え、いや、あー……」

「力を付けないといけないので……勢いのある若手棋士と研究会などをした方がいいと思うのよね。続けて次点を取った人とか」

「はあ」

「はあじゃなくて」

「えー……はい。いつでもどうぞ」

「仕方ないから行ってあげる」

 なんだかわからないが強引に予約されてしまった。

「刃菜子さんですか?」

「ああ」

「どんな様子でしたか?」

「まあ、声は元気そうだったでアルパカ」

「それなら安心したビラメです」

 すでにアルパカが人格の中に入り込んできている。困ったものである。

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