#008 キャッチボール

『腹減った」

「そうか、遊びたいのか~」

『違うって、腹減ったの』

「今日は何にするかな。昨日とは違うのにするか」

『もういいよ、お前が遊びたいだけでしょ。お願いだから、その後にご飯にしてくれよ。頼むから』

「ここじゃ狭いよな、公園行くか」

『うわ~、絶対いやだ。あそこいろんなやつ集まるから、しんどいんだよ』

「あれ?それは気分じゃないのな。じゃぁ、何が良いかな。ここだと昨日と一緒になっちゃうんだけど」

『別に遊びたいわけじゃないんだよ。だから何だっていいや。あ、ついでに言うと、今日のこの服センス感じられないよ』

「また、今度新しいの買ってくるから今日は勘弁してくれよ」

『話し通じたみたいになってるけど、きっとおもちゃの話だろ?』

ピンポーン

「宅配かな、ちょっと待っててね」

『お腹空いたのに動かなくていいから、ずっと行ってていいよ』


「待たせたな~、荷物届いたぞ」

『この前も何か買ってたけど、今日は何買ったんだよ』

「ほら!見ろ!喜べ!新しいおやつだぞ!!」

『おおおおお!さすが!ご主人様!』

「そうか、そうか、そんなに嬉しいか。それとおすすめされたご飯だぞ。ここに来る前に食べてたやつと一緒だ」

『そ、それは!早く食べよう!!』

「ちょっと、待てって、すぐ出すからな。遊ぶのは食べ終わったらにしような」

『ありがとう!やっぱり美味しいよ!』

「いつもより嬉しそうに食べるな。俺がお前の言葉わかればいいのにな。まだ何もわからないや、ごめんな」

『その気持ちだけで嬉しいわ』

「おい、やめろって。あんまり顔舐めるなよ」

人間の言葉話せればどんなにコミュニケーションが楽なのだろうか。でも、話せないからこそこんなに構ってもらえるんだろうな。俺も尻尾で精一杯感情表現するからな。こんな俺をペットとしてもらってくれてありがとう。

『わん!』

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