サリアは言う。「悪党には何をしてもいいぞ!」

 雨は相変わらず降り続いている。カール王子に追いつこうと急いでいた一行、ついに川のほとりに彼が立っているのを見つけた。隠れて様子をうかがうと、どうやって渡ったらよいものか思案していたらしい。

 さほど幅のある川ではなく、橋は架かっていない。どうするのかと思っていると、飛び越えることに決めたようで、助走のために後ろに下がる。


「あの幅いけるかな?」

「王子軽そうだから大丈夫だろ。俺は無理かもしれないけど」

「痩せてください」


 そして王子は走り、身軽に川を――――飛び越えられなかった。盛大な音とともに川に落下した。ここにいる皆が、王子自身も含めて、彼の身体能力を不当に高く評価していたのだ。それほどに彼は運動音痴だった。

 川の流れが速くないのと、底が浅いのが不幸中の幸いだった。彼はケガもなく身を起こし、再び歩き始めた。しかし全身がびしょ濡れの泥だらけ。せっかくの美々しい衣装も台無しだ。

 少し経ってから3人がチャレンジしてみると、余裕で飛び越えられるのだった。肉ダルマですら軽々飛び越え、


「余裕だな。これに落ちるって相当だぜ」

「さっき自信なかったろ」


 王子は次の町に着くと宿をとった。レンガ造2階建ての堂々とした外観だ。3人も少し時間を空けて、彼と同じ宿に入った。


 偶然にも、その宿は町で一番格式の高い宿であった。王子を見た宿のあるじは、さすがに王子だとは思わなかったが、それでも貴族の子弟のような上流階級の少年であることを、服装や持ち物からすぐに見抜いた。そして2階の角部屋、203号室という特等室をあてがった。


 その後しばらくして、いかにも貧相な面構えと服装をした3人組がやってきて、先程の少年と近くの部屋をとってくれと言う。黒髪の女がさらに注文を付けて、


「男女別で」


 太い男が心外だとばかりに、


「なんでだよ。金が余計にかかるじゃん。俺は極めて紳士だぜ?」


「絶対に嫌だ、お前のような変態と同室は」


 宿のあるじは内心舌打ちしながら、痴話喧嘩は余所でやれと思った。ここはお前らのような貧乏人が泊まる場所じゃねえとも思った。そこで婉曲に、この宿は町で一番値段が高いと言ったのだが、その真の意味が3人の誰にも通じなかった。茶色い髪の女がうれしそうに、


「高級宿に泊まれてラッキー!こないだの宿のベッドひどかったからね。石の上に寝ている気分だった」


 とか言っている。あるじは再び内心舌打ちして、お前らのような婉曲の拒否も理解できない知性の持ち主は帰れと思った。しかしこれ以上婉曲にお断りしても無駄だと思ったから、渋々203号室に一番近い201、202号室をあてがった。





 カール王子は次の日になっても部屋から出てこない。宿の従業員にそれとなく様子を聞くと、風邪を引いて寝込んでいるらしい。雨の中、川に落ちてずぶ濡れになったのが堪えたに違いない。


 王子を置いて先には進めないから、ミリアーネたちは宿のロビーの椅子に座り、退屈な時間を潰している。観光しようにも、周囲に何も無い町だった。唯一あったのは、第4代公王が遠征の途中で喉を潤したという井戸だけ。3人とも一応行ってみたが、何の変哲も無い普通の井戸である。味が良いというわけでもない。


「ただの水だね」

「うん」


 という会話をして戻ってきた。ガッカリ名所に推薦してあげてもいいと思った。

 町には本屋も無い。とにかく暇だった。




 幸いだったのは、宿の飯がうまかったことである。前の料理屋のように肉が生臭かったりすることもなく、3人は出されるものすべてを旨い旨いと感動しながら食べている。

 もうひとつ幸いだったのは、2日目に貸本屋が町に回ってきたこと。ミリアーネとサリアはすっ飛んでいって本を借りてきて、ロビーでむさぼるように読み始めた。同僚2人が物語の世界に閉じこもってしまったのでハインツも何か借りようかと覗いてみたが、エロスな本が無いのでやめた。

 彼は暇つぶしに、ロビーで読書に没頭しているミリアーネに声をかける。


「何の本を読んでいるんだい?」

「騎士道物語だよ」


 彼女は本から目も離さずに答える。


「いつも言ってる騎士道物語って、どういう内容なんだい?」


 途端にサリアが本から頭を上げて叫んだ。


「ダメだ、その質問をしては!」


 もう遅かった。ミリアーネは瞳を輝かせ、早くも説明モードに入っている。


「あーあ。もう私は知らん」


 サリアはそう言い残して、部屋に戻ってしまった。ミリアーネは早くも説明を始めている。


「騎士道物語は勇者とか騎士が活躍する物語で、読むと私たち騎士団の参考になるよ。だけど悲しいことに、私たちは特殊な能力が無いから、モブキャラに分類されちゃうんだ。モブキャラっていうのは強敵にすぐに殺されちゃうから、そうならないよう――――」




 けっこう時間が経ったが、ミリアーネの話は終わる気配がなかった。


「――――――モブキャラの死亡パターンにはいくつかあって、私はずっとそれを研究しているの。騎士団1年目までには78パターン見つけた。その後、いくつか発見・統合・整理したから今では――――」


 ハインツはあくびをした。内容がまったく理解できない。理解しようとする興味もわかない。眠そうに外の景色なんかを見ているうちに、視線がミリアーネの胸元に向かった。なかなかの盛り上がりだ。ミリアーネと男女の仲になったら、この盛り上がりを自由にできるのか。それも悪くない。

 しかし、と思った。しかし、仮に男女の仲になったとして、こんな話題をしょっちゅう話されたのではたまらない。それに、こんな意味不明なことを嬉々として喋っている彼女の知性にもちょっと疑問符が付いた。


(ミリアーネは、ナシだな。でも、あの胸は今度使わせてもらおう)


 仲間をそういう目で見るのがハインツという変態だった。





 サリアの所に、ようやく解放されたハインツがやって来た。


「話が全然わからなかった。なんだか頭が痛くなりそうだ」

「あれはミリアーネに振っちゃいけない話題ランキングぶっちぎり1位だからな。以後気をつけて」


 そう言うサリアも本から目を離さなかった。ハインツは何の気なしに聞いた。


「何の本を読んでいるんだい?」


 これがやっぱり失言だった。サリアに振っちゃいけない話題ランキングぶっちぎり1位であった。途端にサリアが瞳を輝かせ、


「私は恋愛小説が好きでね。ミリアーネの本なんかより断然いい。良さを説明するから聞いてくれ。ほら、そこ座って」


 ミリアーネと同じような話が始まってしまった。そしてやっぱり理解しようとする興味もわかないのだった。眠そうに外の景色なんかを見ているうちに、視線がサリアの腰回りに向かった。なかなかの盛り上がりだ。


(あの尻は今度使わせてもらおう)


 仲間をそういう目で見るのが以下略。





「ば、バカな!私の指揮は完璧なはず……!」

「フフフ、やっぱり私は連戦連勝の天才軍師!」


 盤上ではミリアーネ軍とサリア軍が本日4回目の合戦に及び、サリア軍は本日4回目の壊滅の危機に瀕していた。サリア軍のクイーンをはじめとする大駒はとっくに消え、残りはポーン(歩兵)しかいない。

 サリアは悔しくてたまらない。なぜだ、なぜなんだ?多くの物語の中で、普段の言動がちゃらんぽらんなキャラクターは知能が低いと相場が決まってる。しかしミリアーネの奴、ちゃらんぽらんな癖して知能はそれなりに高いじゃないか。もっと悔しいことに、私より剣の腕も立つ。おかしい、こんなことがあってはならない。


 しかしそれは別にミリアーネの知能がサリアより格別優れているわけではなく(どっこいどっこいなのだ)、サリア将軍が無謀な進軍命令と無意味な死守命令を連発するからだった。後先考えずに大駒を前線に投入し、一度進軍させたら退却ということをさせない。ミリアーネ将軍はそれを各個撃破すればいいのだ。

 だからサリアが本当に公国騎士団の軍指揮官クラスになったら大惨事なのだけれど、現状ではどうやってもそんなところまで上り詰めないだろうから問題ない。


「はい、チェックメイト」


 ミリアーネの勝ち誇った声でサリアは我に返った。サリア将軍、本日4回目の戦死。


「納得いかん!もう一戦だ、もう一戦!」

「何回やっても同じだよ。もうチェス飽きた!」





 宿のあるじは長年の経験で、毎日ロビーで騒ぎながら時間を潰している3人組を内心舌打ちしながら猜疑の目で見ていた。当初の想定とは異なり、彼らは金は持っていた。1泊ごとにきちんと金は払った。だからこそ逆に怪しいのだった。貧相な面構えと服装、なのに金払いはいい。

 しかも、身なりのいい少年の近くの部屋を取れという要求。そして当初1泊だと言っていたのに、ずるずると連泊する。日中何をするわけでもなく、ロビーや部屋で騒ぐか退屈そうにしているかのどっちか。

 不審すぎた。町の治安があまり良くなかったこともあって、あるじは町の騎士団に相談することにした。




 町の騎士団隊長は、カール王子がこの町で風邪で伏せっていることを把握していた。しかし試練の旅の厳しい掟、手助けをしてはいけないのである。彼は気が気でなかった。もうひとつ気が気でなかったのは、この町に跋扈するチンピラ集団の存在であった。神出鬼没で、町じゅうで窃盗、ひったくり、恐喝などの犯罪を繰り返すから、治安の悪化が著しい。騎士団の対応も後手後手に回っていた。もしチンピラ集団が王子に危害を加えたら……。その心配で頭がいっぱいで、彼の心は休まらない。


 そのうえさらに、宿のあるじが困り事だという。これ以上心配の種を増やさないでほしい!追い返そうかとも思ったが、王子が伏せっている宿のあるじだったから、念のため話を聞くことにした。


 あるじは心配そうな顔で言う。


「数日前から、変な3人組が連泊していまして……」


 隊長はすぐにピンときた。





 ミリアーネたちが不審者と間違われた町の騎士団に与えられた団長の命令は、その町から次の町へ、さらに次の町へ、と伝言ゲームのように伝えられていった。しかし伝言ゲームは途中で内容が変わるから、ゲームと呼ばれるのである。

 団長の命令には2つの要素があった。

 ①「王子の後から守護神がくっついている」

 ②「神を追い回してはいけない」

 最初の町の騎士たちは、どう見ても神に見えない3人組のことを思い出し、他の町の騎士が混乱しないようにと親切にも補足を入れた。①の内容が

 ①-1「王子の後から『疫病神のような』守護神がくっついている」

になった。やがて「疫病神」という単語のとてつもないインパクトの大きさから、伝言が繰り返されるうちに守護神設定が忘れられていった。①の内容は

 ①-2「王子の後から疫病神がくっついている」

に変わった。


 この町に伝わる頃には、既に①の内容は①-2へと変貌を遂げていた。町の騎士団隊長は王室を尊敬していた。この町は第4代公王が喉を潤した井戸も残る、王室ゆかりの土地でもある。だから大変憤慨し、王子に疫病神がまとわりつくとは不敬千万もいいところ、自分の管轄するこの町で見かけたら自慢の剣で叩っ斬ってやると息巻く。

 しかし、ミリアーネたちには非常に幸運なことに、②の内容は正確に伝達されていたのだった。だから町の隊長に伝わったのは、「王子に疫病神がとりついているけど手出しはするな」という不可解な命令。なぜ王子に害なす存在を放置するのか理解できなかったが、団長命令だから仕方がない。仕方がないから、宿のあるじには苦虫をかみつぶしたような顔して言った。


「それは疫病神である。が、何もしてはいかん」


 宿のあるじは当然青ざめる。商人にとって疫病神というのは絶対に困る存在であった。不審者の方がどれほどマシかと思った。しかしあの貧相な面構えと服装、言われてみれば疫病神に違いなかった。


「そんな、疫病神が宿に居座るようじゃ商売あがったりです!なんとかしていただけませんか!」


 隊長も②の内容さえ無ければ言われずとも乗り込んで叩っ斬ってやりたいのだが、なにしろ団長の命令である。そこは組織に属する人間の悲しい運命さだめ、以下略。


「残念だが、我々ではなんともできん。自己解決してくれ」


 宿のあるじはしょげかえりながら、あの3人組をどうやって追い出すかを必死に考えた。





 あるじは3人のベッドメーキングをわざと雑にする、部屋の掃除をしないという小さな嫌がらせから始めた。が、ついこの間まで自堕落極まる部屋で過ごしていた3人、そんなことはちっとも気にならない。むしろ掃除がされていないことになんか気付きもしない。

 あるじは次に食事の質をわざと落としてみた。しかしこれも、騎士団食堂のマズさに慣れたバカ舌3人には一切効果がないのである。相変わらずうまいうまいと言いながら平らげている。


 あるじは次から次へと、部屋の椅子を壊れる寸前のものにすり替える、羽毛のはみ出ているようなボロボロの毛布に替える、破れたパジャマを提供する、というような嫌がらせを続けたが、すべて無駄であった。やっぱり疫病神というのはとんでもないボロい部屋に住んでいるのだなあ、と感心した。敵ながらあっぱれだと思った。思ったと同時に万策尽きた。

 ――――いや、正確には1つだけ策は残っていた。しかしそれは毒をもって毒を制す、危険な策である。あるじは長いこと悩んだ末、ついに1通の手紙を書いた。





 チンピラ集団のアジトに匿名の手紙が舞い込んだ。町で一番高い宿にずっと泊まっている旅芸人3人組が、かなり金を持っていそうだというタレコミ。宿の近くでこっそりうかがってみると、それらしい3人組が出てきた。なるほど、一般人には不釣り合いなほど立派な剣を差している。あれだけでも売ればかなりの金になるはずだ。そして女2人はけっこういい身体をしていた。チンピラ集団の次のターゲットは決まった。


 同じ頃、宿のあるじは玄関付近を掃除しながら、不自然に大きな声で不自然に長い独り言を言った。

「ああ、今日も良い天気だ。旅芸人だという201号室の女性2人組のお客様と202号室の男性1人のお客様も、散歩に行かれたようだ」


 その夜、宿のあるじは裏口の鍵を「うっかり」掛け忘れた。





 草木も眠る丑三つ時。月が明るい夜だった。

 なぜか鍵がかかっていなかった裏口から侵入した賊たちは、一目散に201号室を目指す。今日の昼で事前調査は済んでいる。昼間見た女2人の身体を思い出し、舌なめずりした。この際202号室の男はどうでもよかった。

 が、チンピラ集団の事前調査は充分ではなかったのだ。それは、3人の素性・趣味・性癖をまったく調査しなかったことである。

 201号室では、女2人が乏しい灯りを気にもせず、借りた小説を夜の更けるのも忘れて読んでいた。202号室では、男が先日見た隣室の女2人の姿を餌に、満を持してマンドラゴラの手入れをしているところだった。そんなとき、階段をドカドカ上ってくる大人数の足音が聞こえた。


 201号室の鍵をぶち壊して侵入した賊は、部屋の灯りがついていることに疑問も抱かず、先頭の2人が毛布をかぶった女に飛び乗った――――と見る間に、くぐもった声をあげて倒れた。長剣を携えたパジャマ姿の女2人が、ベッドから身を起こした。黒髪の方の女が叫ぶ。


「なんだ貴様らは!貴様らのような下衆にくれてやる貞操は無い!」


 その殺気に、賊たちはおもわずたじろいだ。強いて自分を励まし、ナイフや短剣を抜いて襲いかかる。相手はたかが旅芸人、集団でいけば組み伏せられる。が、女2人は滅法強く、手負いが増えるばかり。浮き足だってきたところへ、隣室の扉が勢いよく開いて男が加勢に飛び出してきた。なんとその男が下半身裸なのだった。でっぷり肥えたフルチン男は馬鹿力で剣を振り回して手がつけられない。3人に滅茶滅茶に追いまくられて、チンピラ集団は我先に逃げ出し始めた。


「一人も逃がさん!全員去勢してやる!」


 背後から追ってくる黒髪の女が、悪魔のようなことを叫んでいた。





 日の出とともに現れた光景に、町の人たちはびっくりした。男たちが十数人、全員股間を押さえて呻いているのだった。その男たちは、今までさんざん町の人たちを困らせてきたチンピラたちだった。

 その横では町の騎士団長が、3人の男女の手を取って感謝の言葉を述べている。


「この者どもの逮捕に貢献していただき、なんとお礼を申したら良いか。実は、あなた方のことは当初疫病神と報告されていたものですから、その、どうしても疑いの目で見てしまいまして……」


 サリアは内心キレながら、それでもひきつった笑顔を作って言った。


「じゃあ、かわいいかわいい女神が旅をしているってこの先の町に伝えてください」


 困り者を退治したことを感謝・賞賛する町の人には、ミリアーネがドヤ顔で対応している。


「まあそれほどでもありますけどね。あ、お礼はいらないです」


 現時点で、お礼をするとは誰も言ってない。そして続けて、


「その代わり、これは全部カール王子の功績、ってことにしといてください」


 町の人たちはなんで王子の名前が出てくるのか分からなかったが、町の恩人の希望なのでその通りにした。





「ところで、なんで全裸だったの?」


 ミリアーネがハインツに無邪気に聞いたので、彼は答に詰まってしまった。先程チンピラたちを捕縛してから騎士団が駆けつけるまで、チンピラたちの股間へサリアによって加えられた悪魔のような暴虐を戦慄しながら見ていたからである。いかにハインツであろうとも、あんなプレイは御免蒙りたかった。いや、それは「プレイ」なんて生易しい言葉ではなく、「処刑」とでも呼ぶべきものであった。

 この問いに対して答を誤ると、彼の股間もサリアによって同じ運命を辿るような気がしてならなかったので、彼は慎重に答えた。


「それは……俺は寝るときは全裸派なんだ。素肌に毛布が気持ちいいからね」


「嘘つけ、おとといまではきちんと寝間着着てただろう。どうせ破廉恥なことをしてたに違いない」


 サリアが冷たい目で彼を見、彼は背筋が凍る思いがした。チンピラの股間への処罰といい、サリアの恐ろしさが身にしみる。そして思った。


(サリアも、ナシだな)


 が、彼女がちょっと恥ずかしそうにもにょもにょ、


「でも加勢してくれて助かった。ありがとう」


 と感謝すると、彼の評価はすぐに180°変わるのだった。


(いや、サリアはアリだな!)


 サリアはアリさ。





 こうして「町を困らせる賊を退治した」というカール王子の伝説ができた。が、配慮の足りないミリアーネが全部を王子の功績に、と言ってしまったため、「王子は賊の股間を使い物にならなくしたらしい」という真偽不明の恐怖伝説までできてしまった。

 宿は刃傷沙汰の現場として敬遠されてしばらく困窮したが、あるじが抜け目なく「カール王子が賊を退治した伝説の舞台」と売り込んだので、町にもうひとつの観光名所ができたということだ。

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