第5話 気のせい?
「お待たせしました~、こちらへどうぞ、」
そんなやり取りをしているうちに店員の準備は終わったらしい、ソフィアはいくわよとカイに告げカイの問いに答えることなく店員の待つカウンターへと歩みだしてしまった。
結局さっきのやり取りはなんだったんだとさらに落ち込みながらカイはソフィアに続いた。
カウンターに色とりどりの石が並んでいた。
「こちらの中からお好きな石を選んで頂き、それを私共の方でアクセサリーに仕上げます。」
「なるほど、聞いていたとおりですね、お願いします」
「はい、ではまず、どのアクセサリーにするかこちらの種類からお選びください、」
と店員は言いながら、ブレスレット、指輪、イヤリング、ネックレス、と言った一般的なアクセサリーをカウンターに並べていった。
ソフィアはそれらのアクセサリーの形を確かめるように手にとり、ソフィアの後ろで成り行きを見ていたカイへと振り返り
「どれがいいですかね?」
笑顔で訪ねてくるソフィア
カイは
「俺が決めていいの?」
「はい、私だとどれも素晴らしい作りなのでどれにするか悩んでなかなか決められませんから」
「わかった、その前に‥‥」
「なんですか?」
「これ、なに?」
俺はカウンターに並べられているアクセサリーと石達を指差して説明を求めた。
〝だって何に使うか分からないとどんなふうに選べばいいかわからないし‥‥〟
すると先程まで空気になっていた店員さんが笑顔で説明し始めた。
「こちらの商品は今巷で人気の〝愛の絆〟と呼ばれている商品になります。まず初めに、こちらにありますアクセサリーの形をお選び頂きます。その後こちらに並んでいる石からお好きな物をお選び頂き、こちらの職人が石をアクセサリーに埋め込みます。ここまでよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
「そしてここで重要なのがこちらの石達です。こちらにあります石達で恋人達はお互いに好きな石をお選び頂きそれをアクセサリーに埋め込みます。それを互いに贈り会い、お互いに身に付けることでお互いが愛し合っていることを表します。」
「なるほど‥‥」
「わかりましたか、カイ?」
「あ、はい、ではそうだな、ソフィーはそれを常に身に付けたいんだよね?」
「はい、ずっと肌身離さず」
「じゃ、ネックレスタイプや指輪、イヤリングとかだといろいろたいへんだろうから‥‥」
〝主に夜会や舞踏会なんかで〟
「うん、ブレスレットなんかいいんじゃないかな?そうすれば邪魔にならないだろうし」
「そうですね!!ではブレスレットでお願いします!!」
「かしこまりました、お連れさまも同様のブレスレットタイプで宜しいでしょうか?」
「え、あ、いや、俺は‥‥」
〝このプレゼント?はソフィアが婚約する相手に渡すものだから俺には関係ないしな‥‥〟
どうするかチラッソフィアを見るカイ
すると
「はい、同じものでお願いします」
「かしこまりました」
「え?、ソフィー?」
慌ててソフィアに口を開こうとするカイ
だが慌てるカイをソフィアは視線で制し、さらに小さく頷いた。
それを見てカイは
〝あ、そうか、べつにブレスレットなら男がつけても変じゃないしな、それに俺と買ったからと言って俺が付けるわけじゃないしな、
今日買った物は婚約者に渡すものだからな‥‥‥あれ?なんか今イラっとしたぞ?気のせいか?〟
カイはなにか違和感を感じたが気のせいときにせず、すぐに頭を切り替えソフィアに理解したと軽く合図した。それを確認したソフィアは笑みを浮かべて頷き返したのだった。
そんな二人のやりとり等気づかずにせっせとブレスレットを用意した店員は
「では次にこちらの石からお好きな物をお選びください、」
と笑みを浮かべていろいろな色をした石が並べられた箱を二人に見えすように提示した。
俺の主が結婚するそうです 伊佐波瑞希 @harukikouhei
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