第3話イジョウナニチジョウⅢ
花江瑠美が死んだのは今から3週間前のことだった。
午後5時、部活が早めに終わった花江瑠美は、他の部員と途中まで一緒に帰っていたが、途中の道で別れている。その後家の前で隣人の米村祥子と挨拶を交わし、家の中に入ったのが米村祥子によって確認されている。これが花江瑠美の最後の目撃情報である。
家に入ったのがおよそ午後5時40分、それから約1時間半後、帰宅した弟とその迎えに行っていた母によって死亡した状態で、午後7時過ぎに発見された。
異様なのはその遺体であった、全身を刃物でズタズタ切りさかれ、多量の失血死によって死んでいた。ただ、その出血量が花江瑠美3人分であり、数人の遺体が並んでなければおかしいくらいだった。
「この米村祥子っていうのは米村のお母さんってことでいいんだな?」
話を聞き終えた雲谷が質問してきた。
「うん、そうだよ。他に質問はある?」
僕は、雲谷に聞いた。
「そうだな。遺体の発見と警察への連絡に少し時間があるのは何故だ?」
「あぁ、警察に連絡したのは僕だよ。花江さんと圭吾君はとても連絡できるような状態じゃなかったからね。回覧板を届けに来た僕と鈴村先輩が、気づいて110番したのさ。」
「鈴村先輩ってのはだれだ?この報告書だと米村1人が電話したことになっているんだがな。」
報告書あんのかよ!引っ掛けたのか?それとも天然なのか?
「3年の鈴村智弘先輩だよ。えーと、ほら吹奏楽部でミスターコンにも出てた。」
「おー!あった、あった。ちゃんと報告書に書いてあるじゃん。」
あったのかよ!このポンコツが!
「近所なのか?」
「そうだよ。ってもっと他に聞くことあるでしょ!ほんとに凄い血の量だったんだから!そういうことは気になんないの?」
渋々といった顔で雲谷が聞いてきた。
「えー、なんで3人分の血の量だってわかったんですか?」
棒読み…
「また興味なさそうに…鈴村先輩が元医者のお父さんを呼んできて遺体を見せてたの。それで後で鈴村先輩が教えてくれたの。」
「元医者っていうと今の仕事は?」
「えーと、どっかの会社だったかな?なんとか法人みたいな」
終わり?と僕は雲谷に聞いた。
「いや、米村と花江瑠美の関係を聞かして欲しい。」
やっと取調べみたくなってきたな。僕は変な達成感を得る。
「幼なじみ…だった。僕が、特別な感情さえ持たなければね。告白したんだ。だけど…まぁわかるだろ?そこからギクシャクしちゃってねあっちも僕のことを好きだと思っていたんだけどな〜」
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