1章
第1話
暇。
とっても暇。
ギルドに早めについたのはいいことだけど、やることがなさすぎる。
だって、私の仕事は副ギルド長としての書類とたまに来る教え子たちへの仕事の斡旋、後はギルド内の治安維持だけだから。
このうち、2つ目と3つ目は最近ないから実質書類に目を通すだけだし。
あ~あ、ちょっとダンジョンに行って暴れまわるかな。
そう考えながら私は、机に突っ伏した。
このまま寝ようかな?
この部屋は個室だし、ほぼ人の出入りもないから。
そうエルが考えていると、ドアがノックされた。
「エルせんぱい、ギルド長が呼んでますよって、せんぱい誰もいないからってだらけ過ぎですよ。ほら、早く行ってください!」
「ベルのケチ。大体ガイオスもガイオスで私を呼びつけるなんて偉くなったもの。今度あの子の小さい頃の恥ずかしい話を町中に広めてやる」
「ほらグチグチ言ってないで、あとギルド長の小さい頃の恥ずかしい話は聞かせてくださいね」
「ん。楽しみにしとくといい」
くっくっく、ガイオスめ恥ずか死ぬといい。
「うわぁ~、黒い、エルせんぱいが黒いです~」
「じゃあ、また後で」
「はい」
コンコン。
コンコン。
コン、コンコンコンコン。
コココココココココココココココココココココココココココン。
「うるせぇよ!。開いとるわ!!!」
ガチャ。
ガチャ。
ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ。
「私を呼びつけるとはいい度胸」
「いやそれについては謝るんだが、お前扉を壊す気か?」
「大丈夫。まだ壊さない」
「まだ、ということはいつか壊すんだな。まぁいい。話を聞いてもらえるか?」
「寛大な私に感謝しながら話をするといい」
「では、ありがたく。今年の新人教育を任せてもいいか?」
「?ギルド職員の新人教育なら毎年私だけど?」
「今年は冒険者を頼む」
???何を言っているのだろう。この人は???
「いや、そんなに首を傾げられても困るんだが。とりあえず、今年の冒険者の新人教育は頼んだぞ。初日にちょっとした説明をして、後はフォローだけでいいから」
「まぁ、分かった。説明の仕方は私のやり方でいい?」
「あぁ、いいぞ」
「なら、任せといて。そういうの得意だから」
「頼むから、殺すなよ?」
「殺さないわよっ!!!」
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