世界最強(?)なギルド職員とギルドの1日

寂滅馮河

プロローグ

プロローグ

~アルトラント王国 冒険者ギルド本部~

そこは、この国で一番にぎわっている場所だろう。

なぜかって?

自分で行って確かめてみな。分かると思うから。


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準備完了。行くとしよう、仕事場に。


「行ってきます」

ドアを閉め、ギルドに向かって歩き出す。もう何年もこの景色を見ているけど、全然飽きない。なんで何だろう。


「せんぱーい、エルせんぱーい!」

「ベル、おはよう」


この子はベル。私の後輩。これまでいろいろな人を見てきたけど、この子はその中でも一番可愛らしい。とっても明るいし、とってもいい子。あの子たちも見習うべき。


「せんぱい、いつ見てもちっちゃくて可愛らしいですね~。お人形さんみたいです」

「ちっちゃい言うな。私はハーフエルフだから成長が遅いだけ。ベルみたいにすぐに老いたりはしない」

「ということは~、エルせんぱいはその姿のまま年を重ねて・・・」

「ん?何か言った?」

「いえ、何も言ってません。ごめんなさい」

「ならよろしい」


全くこの子は。いい子だから許してあげるけど。まぁ、私が年を取らない理由はもう一つあるのだけど。


「せんぱい、早く行きましょうよ。いろいろ準備することもありますし」

「ん。じゃあ、ギルドに先についた方が今日の昼ごはん奢ってもらうのはどう?」

「いいですよ~。私の足の速さ舐めないでくださいね!」

「じゃあ、よーいどん」

「え?速っ!ちょ、エルせんぱーい、待ってくださいよ~!!」




今日もまた、一日が始まろうとしている。これはギルド職員たちの物語。

なお、かけっこはエルが勝ち、ベルが泣きながら昼ご飯を奢っていたのは、また別のお話。

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