第6話 調教日誌3  ルール

 あの後、家事を教えて、魔法のやり方も森で試行錯誤しながら、思い出してもらった。

 

 これで一通り、一人の冒険者としての生活に支障はない。

 

 問題は、彼女が恥じらいがないことである。


 これは、著しい問題だ。


 考えてもみてほしい。

 

 自分が世話している人がいきなりパンツやそれすら脱いだ局部を見せる。


 おそらく最悪の絵面だ。

 

  最悪僕ともども逮捕されるかそうでなくとも彼女は男にひどいことをされるだろう。


 奴隷を買った場合、それで終わりではなく、その監督者としての責任が伴う。


 「インゼ、ちょっとおいで」

  

 「なんですか」


  昨日のように下品なことを口走るのは一種の発作みたいなもので、しばらくすると治った。


 不安だが、少なくとも一日生活していく中でしゃべる単語から発作はなかった。


 「ルールはわかるよね」


 「わかります。守らなかったらお仕置きされます」


 「……まぁそれで間違ってはいないが」


 「それで、どんなルールですか」


 「一つ、外に出たら、絶対に胸と股間を見せない」

 

 「はい、わかりました」

 

 「僕以外に胸やお尻、あそこを触られたら止めてくださいっていうんだ」

 

 「はい、わかりました」


 「それでも相手が引かない場合は、魔法を相手に放つんだ」


 「はい、わかりました」


 「それと以下の単語は喋らないでくれ、まずは――――」


 「————ですね、わかりました、ルブは優しいんですね」


 「あと、僕と話すときは、ですますは禁止。他の人と話すときは敬語で喋ってくれ」

 

 「わかり―――うんわかった」


 「よろしい、よくできたね」

 

 僕はインゼの頭を撫でる。


 「くすぐったいよ、でも悪くないかも」


 こうして、僕とインゼの「普通」の日々がようやく始まる。

 

 

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