第5話 調教日誌2 ご褒美 

 僕は彼女に衣服の着かた、脱ぎ方を教えた。


 彼女は元から頭がいいのか、すぐに覚えた。


 文字の読み書きも医療知識を除けば僕と同等の能力いやそれ以上になっていた。


 ご褒美をあげようかと冗談半分でいったら、彼女は名前を思い出した。


 「今なんて……?」


 「インゼ、ご褒美欲しい!」

 

 「インゼ……君の名前かい?」


 「うん」


  突然、言動が幼くなった彼女に違和感を覚えながら、俺は優しく、彼女にこういった。


 「インゼはどんなご褒美が欲しいんだい?」


 そうすると彼女はなぜかスカートを捲し上げ、こういった。


 「ご主人様の――――」


 そこから先は聞くに堪えない下品な単語の羅列だった。


 おそらく、前に彼女を買った下衆野郎の趣味だったのだろう。


 僕は聞くに堪えず、思わず怒鳴ってしまった。

  

 「やめろ!」


 「どうして、ルブお兄ちゃん、ご褒美くれるんじゃないの?」


 「ご褒美っていうのは、そうじゃない、そうじゃないんだインゼ」

 

 僕は、思わず彼女を抱きしめる。


 強く、強く抱きしめる。

 

 「痛いよ、お兄ちゃん」


 彼女の怒りと悲しみを代弁するように俺は彼女を強く抱きしめる――――。

 

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