第36話 JKカレンと魔女クララ⑦
クララが恋人になりカレンが悪い女になってから3週間が過ぎた。
その間、歯車が完全に噛み合ったチームの勢いは止まらず勝利を重ね続けた。
これであのスポーツミックス放送から6連勝だ。
我がホーリーランズ尾道の成績は19勝10敗7分け。
順位もJ1昇格圏内に急浮上し首位の背中も見えてきた。
大卒ルーキーの馬場は宣言通りに大復活を遂げた。
ゴールを量産し始めてルーキーの中では得点王になっていた。
下手糞なトラップを捨てダイレクトシュートを磨いて覚醒したこのフォワードには、いつしかババという名前にひっかけてジョーカー(切り札)という異名がつき対戦相手に恐れられるまでになった。
傲慢ドリブル小僧の永田も先発に戻って活躍するようになっていた。
スピードで抜き去るのではなく、スルリスルリと実体のない幽霊のように相手をかわしていくので、永田にもゴーストドリブラーやファントムの異名がついていた。
ボブは相変わらずボブだったが、絶好調のボブだった。
テレビ出演から人気を得たことでメンタルが安定し実力を発揮し続けている。
そして、いつの間にか歌手デビューしていた!
ボブが歌うブルースで、「ボブルース」と命名されてるらしい。
俺も聞かされたことがあるが、黒人だけあって普通に上手かった。
しかもお調子者キャラのボブが泣かせるブルースを歌うことで、「ギャップ沁み」なる言葉ができるほど一定の評価を得ているようだ。
さらに、「ファックじゃなく不惑」「ホーリーうんこ」「ユーお母ちゃんファッカー」などの俺には寒くてウザいだけのボブ語録が静かにブレイクしていた。
本当に世間というのは分からないものだな・・・
俺自身はどうかといえば、ボブに負けないぐらい絶好調だった。
疲労が溜まってる筈なのに逆に体が軽く感じるほどキレキレだった。
ボブと同じくメンタルが充実しまくって気力が漲っているからだ。
その一番の理由はクララとカレンの二人なのは間違いない。
クララとはトラブルを避けるために付き合い始めたのだが、今はもう完全に魔性の女にハマってしまった。
冷静に判断すればクララは極上の部類の女なのだ。
美人でスタイル抜群で仕事もできる。
やや性格に難はあるが天然なだけで悪意は無い。
俺は付き合っていく内にどんどんクララに心を奪われていった。
クララの方もそんな俺の愛情を注がれ続けることで完全に恋愛脳になっていた。
もう周りを気にせず俺のマンションに来るようになってから、彼女の私物が一つまた一つと増えていった。
俺がクララの体中にキスでマーキングしたように、彼女は玄関にハイヒール、洗面所に歯ブラシ、ベッドルームに下着などなど全ての場所に私物を配置してマーキングを充実させていった。
そして俺からはありったけの愛情を吸い取っていくのだ。
他の誰にも渡しはしないという勢いで。
まるで、おしかけ魔女だ。
だがそれが俺には溜まらなく嬉しくて楽しくて幸せだった。
ただ、クララは大新聞社の有能記者で忙しい。
会えるのは週に二三回ほどのペースだ。
その隙間を埋めてくれたのがカレンだった。
スケ番ギャル風JKの彼女は宣言通りに悪い女に徹してくれた。
夜に訪れ早朝に帰っていく恋人のクララの隙をついて昼間にやって来ては情事に耽る。
そして自分の痕跡を残さずに帰っていくのだった。
まさに間男ならぬ、間女だ。
だがカレンはクララが吸い取っていく愛情を逆に注入していってくれる。
見た目や言葉遣いとは裏腹に男を癒してくれる女なのだ。
さらに下衆いことをいえば、二人の対照的な身体も効果的だった。
クララの熟した大人の色気のあとにカレンのピチピチした若い果実とくれば嫌でも興奮する。逆もまた然りだ。
ただでさえ極上の肉にスパイスまで加えることで俺は飽きることなく女体を貪ることができていた。
チームの大躍進と私生活の異常な充実。
そのお陰で疲労感など吹き飛んでいた。
試合と情事で疲れ切っている筈なのに二十代前半の頃の様に不思議なほど元気溌溂としていた。
この無敵状態がいつまで続くか不明だが願わくばシーズン終了までもって欲しい。
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