第31話 JKカレンと魔女クララ②
「・・・そうなんだ。アタシ、プロになるつもりなんだよ」
立派な目標だし、素晴らしい夢じゃないか。
なのにどうしてそんな辛そうな顔をしてるんだ?
俺が怪訝な表情をしているとカレンちゃんは胸の内を明かし始めた。
「アタシ、ずりーよな。プロになるのに男も欲しーなんて」
「いや全然ずるくないし。何も悪くないと思うけど」
「大卒でプロになって30までは現役でやりたいんだ」
「うん。それで?」
女子バスケの世界は知らないがプロの世界で30まで現役なら御の字だろう。
だがそれがなんだって言うんだ?
「・・・それまで子供作れないだろ・・・」
子供!
もしかして俺との子供のことを考えてたのか?
つまり、12年後の30歳まで子作りするつもりはない。
その時には俺は47歳だから結婚相手になりえない。
だから俺たちの関係は先の無い一時的な関係だってことか。
それがズルいとカレンちゃんは気にしてるようだ。
スケ番ギャル風のJKなのに古風な考えた方をするんだな。いやだからこそか。
それに、自分の都合だけじゃなくて俺のことも配慮してくれてるな。
47歳まで俺に新たな子供を作らせないのは残酷だと考えたんだろう。
その気持ちは嬉しいけど一人で抱え過ぎだ。
「それでも俺はカレンが欲しい」
「・・・本当に・・・いいのか?」
「いつまで続くか分からないけど一緒にいてくれないか?」
「あとでどうなっても知らないぞ!もうアタシ本気にしちゃったからな!」
「望むところさ。それに俺のこと飽きたらヤリ捨てしてくれていいからな」
「バカ、武者野さんもちゃんと良い人できたらアタシをヤリ捨てしろよ・・・」
「よし契約成立だ。これからは拓哉って呼んでくれよ」
「ああ、これからよろしくな、タクヤ・・・」
俺はカレンを抱きしめて軽くキスした。
そしてそのままお姫様抱っこしてベッドルームへ連れて行く。
高身長ムチムチのカレンはかなり重かったが何とか頑張った。ベッドの中でも。
カレンと付き合い始めて二週間が経った。
その間のアウェーとホームでの試合も快勝しチームは三連勝と流れに乗った。
ホームはもちろんアウェーでも落武者フィーバーが起こっていたのは少し驚いた。
俺がスルーパスを出す度に敵サポーターからも歓声や拍手が湧きあがり、時には大きくどよめく。
それに乗せられて俺もプレーがどんどん冴えわたった。
何だか嬉しいやら申し訳ないやらで変な感じだ。
俺はもうクラブの垣根を超えた特別な選手になりつつあるみたいだった。
カレンとは頻繁に逢っていた。
大学推薦が決まって後は卒業するだけのカレンは隙あらば俺の家に来るようになり、真昼間から精魂尽きるまで体を重ねた。
男は俺が初めてだったカレンの身体は少しずつ開発されて行き、最近は派手に果てるようになった。それがクセになったようでここの所は彼女の方から積極的に求めてくる。しかも俺のツボを突いたエロい格好や仕草をしてくるようになったので拒めない。むしろ喜んで誘いに乗っている。
まぁ要するに最初のラブラブ期の真っ最中という感じだ。
そんな時だった。
あの女と再会したのは。
ホームで三連勝を決めた翌日、リカバリートレーニングを終えてロッカールームで着替えていると、職員が毎朝の記者が来たと俺に告げる。
毎朝の記者ってクララのことか?
スポーツミックス放送からの世間の評価大逆転とチームの快進撃、そしてカレンとの充実した男女関係で心身共に満たされていた俺はすっかり彼女の存在を忘れていた。
しかし何故今ごろクララが・・・
いや、毎朝の記者だからってクララとは限らないか。
クララなら事前に連絡を入れて暗に大歓迎するよう要求しそうだしな。
ともかく、毎朝の記者を待たせると後が怖い。急ぐとするか。
速攻で着替えて受付前のロビーに行くと、姿勢正しく優雅に座っているクララを見つけた。
その席まで俺が歩いて行き挨拶をしようとした瞬間、クレームが飛んできた。
「どうして連絡してきませんの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます