大きくて青いビ〇チと遊ぼう

『《宇天イナ/白花さげ》正直先輩との初コラボがこれとか絶望でしかなくて《ミラライブ一期生/ミラライブ五期生》』


「さぁ!!普段落ち着いてるイメージのさげちゃんを絶叫させてみんなでニコニコしようの会だ!!!」


「わざわざエコーまでかけて言うことじゃない」


【コメント】

:にこにこ

:クソテンション高いなイナちゃんwww

:ミラライブの新人はホラゲーさせられるルールでもあるのか?

:なんだかんだで絶叫しなさそう

:怖がったら黙るって言ってなかったっけ


「今回やってくのはあの有名な『青鬼』!!ちなみにさげちゃんやったことある?」


「あるわけない。動画とかも見たことない、怖い帰りたい」


「じゃあOPムービー見ながら簡単に説明してくね。青鬼がいる館に探検しに来た主人公たちが閉じ込められて、さげちゃんはその一人を操作して脱出を目指すってのがこのゲームの趣旨だよ」


「そんな生物が潜んでる建物に不法侵入してる時点でもう主人公に感情移入できない。閉廷」


「おい勝手に閉廷してんじゃねえ。まぁこれほとんど覚えゲー&謎解きゲーだから落ち着いてプレイしてたらその分襲われる回数も減るよ、がんばれ」


「一回も襲われずに脱出できるルートは」


「そんなのあったらホラゲとして破綻してるよ」


普段より心なしか不安そうな表情を浮かべ、まだ何も起きていないうちから既に声が震えているさげ。

その時点でイナはこのコラボを計画して正解だったと内心でほくそ笑む。


「ほらさげちゃん、主人公の名前の入力だよ。自分の名前入れる?」


「無理。サキにしとく」


「なんかその名前だけでご都合主義的に全て破壊できそう」


【コメント】

:おいチートやめろ

:安心感やっばwww

:もう青鬼が裸足で逃げ出す

:青鬼なんかフィジカルでどうにかしそう

狐舞サキ🔧:おい何勝手に人の名前使ってんだ


名前を決めて導入が終わると、主人公の友人たちが行方不明になり彼らを探すために館の中を自由に歩き回って探索することに。


「あ、ちなみに青鬼に見つかったら一旦距離取って箪笥の中に隠れたりしたらやり過ごせるから覚えといた方がいいよ」


「多分無理。そもそもゲーム慣れてなさすぎてそんな繊細な操作できる気がしない」


普段とは打って変わってギンギンに目を見開き、全ての部屋の隅々までクリアリングしながら館の探索を進めていくさげ。

「そんなとこからは出てこないんだけどなぁ……」なんて思いつつ、ほんの小さな驚かし要素を全部拾った上で「ひっ」と小さな声を漏らす後輩の姿にニコニコ笑顔が止まらない。


元来の性格としてイナはさげのように怖がりの子がホラゲーをやっているのを見るのが大好きだ。

デビュー当初はあらゆる手を使ってメグにホラゲーをやらせまくった記憶がある。


……まぁ、そこから新しく入ってくる後輩たちがあまりにも化け物揃いすぎたためにこうして後方腕組み愉悦するのは久しぶり。内心ではテンション爆上がりだ。


なんて考えていたら画面ではさげちゃんが初登場の青鬼に追い掛け回されていた。


「ひっ……おいいつまで追いかけてくるんだこのFuck'n……あ間違えた青鬼……あ、引っかかった、終わったぁ……」


「おぉ……この程度じゃ叫ばないか」


「だから怖いと黙るタイプだって。てことでこの無謀な愚物くんが死んじゃったので今回の配信はここまでということで……」


「いや終わらせねぇよ?ほらさっさとコンティニューするんだよ」


「……もしかしてこれってクリア耐久だったり……?」


「お、鋭いねぇ。大丈夫、私は明日予定ないから」


「うちは明日朝から仕事なんですが……?」


「じゃあ頑張って早くクリアしなきゃだね!さぁファイト!」


「この先輩、唯一の常識枠って聞いてたのに。もう前評判なんて絶対信用しない」


【コメント】

:あまりにも操作不慣れすぎる

:これクリア耐久大丈夫か……?

:一応常識枠だよその先輩

:普段はまとめ役だよその先輩

:こんなに楽しそうなの久しぶりに見た気がする


「あ、謎解きはこの程度か。なら……。…………………………はぁ…………あのFuck'n Big Blue Bitchが……」


「おおおおう!?あんま配信でそういう言葉使っちゃダメだよさげちゃん!?ま、またデスは2回目だから気を取り直して頑張ってこ!」


相変わらず急に襲われても大声を出さないさげ。

しかし、ビクッと大きく身体が跳ねるし少しずつ慣れてきた操作は一瞬でめちゃくちゃになっているのを見るとビビり散らかしているのは明白だ。

そんなさげの姿を見てニコニコが止まらないのはリスナーもイナも同じ。


「そういえば配信でホラゲーやってたサキちゃんは心理学とかプログラム的な要素からゾンビが出てくる場所を予測してたよね。さげちゃんってサキちゃん並みに頭いいって聞いたけどできそうだったりする?」


「サキよりアホだったらうちとしては色々まずい。ていうかそういう知識活用していいの?カンニングみたいなもの」


「ちょっと待って、冗談のつもりで言ったんだけどもしかしてさげちゃんもなろう主人公側の人?」


「サキと一緒にしないで。いつどこから襲われるとかどういうギミックがあるかぐらいなら予想するのは簡単。てか誰でもできる。でも配信的に大丈夫?」


「大丈夫、多少ぶっ壊し攻略してもうちの事務所のリスナーさんたちは魔王に鍛えられてるから」


「ならさっさとクリアする」


【コメント】

:おい待て

:まだ人間でいてくれ

:魔王に魂を売るんじゃない

:常識あるママ枠であってほしかった

:うわぁ……サクサクだぁ…………


その言葉の通り、びっくり要素や意外な設定なんかもびっくりするほどサクサク乗り越えていってしまうさげ。

そもそもの謎解きで一瞬で答えを導き出してしまうのはともかくとして、青鬼が出現するタイミングを読み切って予め確認しておいたルートで逃げ切る。


「回り込んできてたり複数出て来たりする時はどうやって逃げてるの?未来予知みたいな動きしてるけど……」


「何パターンか予測を立てて動いてるだけ。可能性があるケースを全部予測しておけば予想外は起きないし、予想外が起きなければ人間の恐怖心は刺激されない」


「ダメだ、私さげちゃんがサキちゃんに見えてきた」


「悪口やめてください」


「ギリ悪口ではないよ!?てかさげちゃんってサキちゃんと面識あるの?先輩とのコラボは今回は初だよね?」


「この前たまたまリアルで。ほら、あの人見た目分かりやすいから」


「確かにあんなに中の人が分かりやすいVTuber他にいないわ。大丈夫?口説かれたり何か事件に巻き込まれたりしなかった?」


「口説かれはした。可愛いって言ってほっぺたムニムニしてきやがった。一旦あいつ刺された方がいいと思う」


「おいなんだそれ初耳だぞ。うらやましいから今度私もムニムニしに行っていい?」


「やだ。サキのほっぺで我慢して。あれだったらいくらこねくり回してもいい」


「ひどいよさげちゃん!!!」


【コメント】

:安定の魔王

:勇者PTの賢者が魔王にNTRれるってほんとに現実で起きうるんだな

:頼むから陥落しないでくれ

狐舞サキ🔧:おい私を売るな

:さげちゃんのほっぺいいなああああああああ

:おい魔王そこ代われ


そんな雑談をしながらもゲーム自体はサクサク進行。

時々予想外の襲われ方でびっくりしたさげが一瞬黙り、それを見たイナがニッコニコになることが何度かあったが、概ね何の問題もないサクサクプレイでクリアまで。


「こういうプレイの仕方でいいから全然ホラゲコラボでもいい」なんてさげは宣っていたが、当然そんなことをイナは許可しないので今後しばらくホラゲコラボはなさそうである。

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