リン〇フィットコンクエスト 1

『《狐舞サキ/深山早紀》最近運動不足を感じるのじゃ《ミラライブ三期生》』


「うっし!やってこう!!」


【コメント】

:うお実写か

:モンスター逃げてぇ超逃げてぇ

:実写久し振りだな

:ハロウィンのやつ新衣装になったんか

:かわいい


「今回やってくのはリン〇フィットコンクエストだよ!多分みんな知ってると思うけどこのリン〇コンを使って運動しながら攻略していく感じのRPGだね」


リ〇グフィットコンクエストは数年前に発売されたSmitchのゲーム。Smitchのコントローラーをリ〇グコンと呼ばれる器具に装着して、様々な運動をこなしつつ攻略していくRPGだ。

ちなみにこの運動、普通にキツい。普段から運動不足な人だと30分もせずにバテるレベル。


「ちなみに今回3Dじゃなくて実写なのは、うちの機械がいくら高性能でもどうしてもリアルの動きとの違いはあるからだね。私がサボらずにちゃんとやってることをみんなに見せるためだよ。みんなも私の可愛い可愛いご尊顔が見れて嬉しかろう、ほれほれ」


そう言ってカメラに向かって笑顔でピース。


「じゃあとりあえず……わ、まず年齢身長体重入力か。えーっと、20歳、165㎝、50kgと」


【コメント】

:おい急にこっち見んなキュン死すんだろ

:こっち見んな魔王

:実写初めて見たけどこんな可愛いのか魔王

:実写新鮮すぎていつもの魔王とは思えない

:安定の全く隠さない体重

:てか今日運動のためか薄着だから身体のラインがよく分かる、でっけぇ

:少しは躊躇しよう


「ちなみにコメントもちゃんと見てるからセクハラコメも見えてるんだぞ。てか私そこまで大きくないよ普通だよ。ミタマちゃんの方がでかいし。……えーと運動負荷の設定?あぁ難易度か。INSANEでいっか」


設定したのは運動強度兼難易度。ダメージを与えるために必要な時間や回数などが変わるものだ。EASY、NORMAL、HARD、HERMES、INSANEの五つ。

筋肉の神の名を冠する難易度より上なのね。

ちなみに例えばスクワットなら、EASYなら10回、INSANEなら100回で同じダメージを敵に与えられるといった感じ。また、同じ運動でも身体の動かし方などが不十分だと与えられるダメージが小さくなってしまう。


「ほんで〇ングコンの引っ張りと押し込みで力の測定か。よいしょ」


案外柔らかいものだ。普通に軽く引っ張っただけで画面には上限の100と表示されている。押し込む方も同様だ。


「お、これで設定は終わりかな?じゃあ早速始めていこう!」


設定を終えてゲームを開始すると、画面には私と同じようにリングを持ったキャラが表示される。てか、なんかこのリング喋ってるんだけど。怖。

どうやら私はこのゲームの世界に迷い込んだという設定らしく、目的はこのリングに従って色々なステージを攻略して元の世界に戻る手段を探すことのよう。


「とりあえずストーリーはなんとなく分かった。とりあえず進んでいこうか」


【コメント】

:躊躇いのないINSANE、嫌いじゃないよ

:負荷100でINSANEとか地獄なんだが

:うん、当然のように押し引き100なのほんま

:運動パートほんとにいるのかなぁ……

:マジで軽く力込めた感じなのほんま


最初のステージに入ると、まずは一本道を走っていく感じだ。

また、リングを押し込むと空気砲のように使うことができてオブジェクトを攻撃できる。また、引っ張ることでアイテムなどを吸引することができる。これらを活用してギミックを攻略したりアイテムを集めたりしながら進んでいくのだ。


「お、初戦闘だ。てかモンスターかわいっ!?」


出現したのはドラ〇エでいうところのスラ〇ムみたいな感じの雑魚。ぽよぽよと跳ねていてすごくかわいい。


ちなみに運動の種類と敵にはそれぞれ四種類の属性が存在しており、同じ属性で攻撃することでより効果的にダメージを与えられるらしい。


「こいつは赤だから……えーとスクワットか。えぇ……しかも何秒か姿勢キープするやつを100回も……?大丈夫?配信的に単調すぎない?」


ぐちぐち言いながらもスクワットを開始する。

まぁこれくらいなら特段しんどいってこともないから大丈夫だけど。


【コメント】

:気にするのが『配信的に』なんだよね

:スクワット100回……ひぇ

:他の配信で見たことないけどINSANEってこんなにヤバいのか

:負荷自体は気にならないのね、まぁ当たり前か

:実写だからこそ分かる化け物さ


「そうそう。スクワットやってる間喋らないのもアレだしなんで今日リン〇フィットやることにしたかでも話そうかな」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



そう、これは数日前のことだ。


「え、痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い」


というか家族でラウンド2に行った次の日のことだ。


朝ベッドで目覚めて気づいたのだ。

身体中の痛みの原因はすぐに思いついた。

というかそれ以外に考えられなかった。


「きん……にくつう……」


あんなに一日中運動したのは久しぶりだったからなぁ……。

学校行きたくない……。てか動けない……。

まぁ、まだ翌日に筋肉痛が来てるだけマシか……。


「サキー!学校遅れるよー!」


「あ、クリス」


勢いよくドアを開けてクリスが部屋に入ってくる。

おい、なんでお前は筋肉痛なってないんだよ。


「おーいサキー?」


「あ、ちょまっ」


「サキ夜更かししたのー?」


クリスが近づいてくる。

おいバカやめろ頼むからやめてくれ。ねぇ無邪気な顔してこっち来るんじゃない。


「どーん!」


「ぎゃあああああああああああああ!?!?!?!」


この時私は決めたのだ、ちゃんと定期的に運動しようと。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「……ってな感じ。あ、ちょうどスクワット終わった。って、えぇ……。回数の割に火力ひっく……」


【コメント】

:ナイスだクリスちゃん

:サキちゃんとラウンド2とか絶対萎える

:案外強いのかクリスちゃん

:サキちゃんに勝てるのなんてサキママぐらいだしなぁ

:難易度上がって回数増えても火力は変わらないからなぁ

:ねぇなんでスクワット100回やって一切息が乱れてないのこの魔王


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る