サキ先輩とオフコラボ^^
『《狐舞サキ/泉水スピカ》サキ先輩が家に来た!!!!《ミラライブ三期生/ミラライブ四期生》』
「……ちなみに君はこの部屋で先輩と何をしようと言うのかね」
「え、片付けっスけど」
「ねぇ私先輩だよ!?!?」
何故こうなったのか。時は数時間前に遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
もうそろそろ肌寒くなってきた季節。
大学の講義が昼頃に終わり、まだ太陽が燦燦と輝いている時間帯だというのに一陣の風が吹くだけで身震いするほど。
ポケットから手を出すのも億劫に思い、パーカーの前ポケットに突っ込んだままだ。
しかし、ズボンのポケットに突っ込んでいたスマホが震え、半ば反射的にそれを取り出して通知を確認する。一瞬手が外気に晒されてその不愉快さに眉をしかめるが、ロック画面を見やるとどうやら先ほどのバイブはスピカちゃんからビスコのDMが来たためらしい。
泉水スピカ:今暇っスか?
なんだろう。
狐舞サキ:まぁ予定はないけど……何か用?
泉水スピカ:もしよかったら今からあたしの家でオフコラボしませんか?
おふこらぼ!?!?
「え、行きたい。超行きたい」
狐舞サキ:え、行きたい。超行きたい
泉水スピカ:なんでそんな乗り気なんスか……。ま、いいっス。これがあたしの家の住所っス。いつぐらいに来れそうっスか?
添付されていたリンクを開いて場所を確認。どうやらここから数駅のところらしい。ここからなら大体30分やそこらといったところだろうか。
狐舞サキ:今からなら多分30分くらいかな?それぐらいで行って大丈夫そ?
その直後にスピカちゃんから返ってきた「OK!」のスタンプを見てさっさとスマホをポケットにしまう。
いつも通り暇な授業の間に課題は終わらせているので帰りが遅くなってもお母さんに怒られる心配はない。
始めましてのスピカちゃんとの唐突なオフコラボに胸を躍らせながら駅へと向かうのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……で、可愛い後輩の家に来たらこの有様、と」
「次の配信内容をシイッターの安価で決めたところ、『先輩を呼んで部屋の片づけ』に決まったっス」
「……それで、私を呼んだと」
スピカちゃんの家はとあるマンションの一室。
流石に玄関までゴミ袋が敷き詰められている……といった惨状ではないが、普段スピカちゃんが生活しているであろう部屋はまさに足の踏み場もない。
「ちなみにその辺に普通に下着とか転がってるんだけど見られることによる羞恥心とかは?」
「サキ先輩に見られる分には全然いいんスけど、あんま大きい声で言わないでください、その、今配信してるんで……」
「もう配信してんの!?!?」
両手で頬を抑えてイヤンイヤンするスピカちゃん。
ちなみにVと違って黒髪だが、割と大人っぽい顔立ち、ズボラさが前面に出た部屋着姿、黒ぶち眼鏡。しかしそんなだらしないように見える格好なのに当人からは微塵も感じない不潔感。そして何よりだらしない着こなしの部屋着から覗く双丘が色っぽさを醸し出している。かなりのサイズだ。ミタマちゃんあたりといい勝負だろうか。
「ま、とりあえず入ってくださいっス。……って、どうしたんスか?」
「いや、部屋の汚さへの絶望半分とスピカちゃんエロいなって気持ち半分」
「どどど、どこ見てるんスか!?」
サッと胸元を隠して後ろを向くスピカちゃん。
そういう反応するから可愛いんだよちくしょう。
「おじゃましま~す」
【コメント】
:サキちゃんだぁ
:初手セクハラやめな?
:頑張れサキちゃん
:初手エロい草
:もうガサガサって足音が……
「てかこんな感じの配信でいいの?カメラつけなきゃリスナーさんからは何してるか全く見えなくない?」
「ワンチャンの顔映りとかが怖いので……。あたしはサキ先輩ほど可愛くないんで絶対に顔出しはしたくないっス。あと何してるかは多分音で伝わるんで問題ないっス。知らんけど」
「え?めちゃくちゃ可愛いじゃんか。肌白いしすべすべだしお目目おっきいし。それで可愛くないとか冗談でしょ」
「ややややややめるっス!!!そんなゼロ距離で褒められたらヤバいっス!!あたしは、あたしだけは魔王に屈しないっス!!」
「おい、その魔王を家に招いたのはてめぇだぞゴラ」
私がスピカちゃんの肌に触れようとするとあからさまに動揺して後ずさりする。
「「あ」」
そのままゴミ袋に足を引っかけて転倒。
倒れた先には洗濯物が山積していたのでノーダメージなようだ。
「……とりあえず片付けしよっか」
「……はいっス」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「服は全部洗濯機でいい?」
「あー、それまだ綺麗なやつっス」
「全部洗濯機ね。てか空き缶多……。しかも気化したエナドリの臭いすごいんだけど普段どれだけ飲んでんのさ……」
「ミラライブ入ってからはあんまり飲んでないっスね。多分ミラライブ入る前の遺産っス」
「ってことは最低でも半年前のやつってこと!?!?なんで残ってるの!?しかも最近あんまり飲んでないってことはもしかして換気とかもしてない……?」
「いやぁ、缶ゴミの回収が朝8時とかなんスよね。そんな時間に起きれるわけもなく。あはは。換気なんてするわけないっスよね」
「半年ずっとは流石に引くよスピカちゃん」
【コメント】
:こんなにサキちゃんを応援する配信が今まであっただろうか
:頑張れサキちゃん
:そんなにひどい状況なのか……
:スピカちゃんさぁ……
:スピカちゃん割としっかりしてると思ってたのに……
「……ねぇこの請求書まだ支払いしてないよね?」
「あ、それ期限明後日っスね。明日行くっス」
「今日この配信の後で一緒に行こうね」
「外出たくないっス」
「じゃあお前絶対明日も行かねえよ!!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふぅ……。とりあえずこんなもんかな……?」
「おぉ~、あたしの部屋とは思えないくらい綺麗っス」
あたりを見渡して満足げなスピカちゃん。
なんでお前が満足げなんだよ。ほとんど私だよ片付けしたの。
「ここまでちゃんと片付けしたの何年振りだろう……。あ、スピカちゃん。ちゃんと明日ゴミ捨て行くんだよ」
「……。……行けたら行く」
「こんなにだらしない子だとは思わなかったよ私ゃ!!!」
「あ、とりあえず片付け終わったんで配信閉じるっスね。コメントほとんど拾えなかったけどめちゃくちゃ盛り上がってたっスね」
「自分の部屋の片づけだけでコメント欄がこんなに盛り上がることを恥ずかしいと思った方がいいよ」
「……よしっと。配信閉じたっス。いやぁ~、久し振りに動いて疲れたし風呂にでも入るっスかね。サキ先輩も一緒にどうっスか?」
「一緒にお風呂!?羞恥心どこに落っことしてきたのスピカちゃん」
「……?あぁ、さっきは配信中にあんなこと言われたからびっくりしただけっスよ。別に同性ですし、裸見られるなんてなんてことないっスよ」
あっけらかんとした表情でそう宣い、私に近づいてくるスピカちゃん。
「え、ちょっ」
「ありゃ、サキ先輩って意外と初心なんスね」
ケラケラとそう笑うスピカちゃん。近いよ恥ずかしいよ。
……。
「え、くっさ!?汗臭っ!?ほんとにこれ女の子の臭い!?スピカちゃん何日お風呂入ってない!?」
「流石に失礼っスよ先輩。まだ三日ぐらいっス」
「今!!すぐ!!!一人で入ってこい!!アホ!!!」
「サキ先輩と一緒だったらいいっスよ」
「なんで私と一緒なことにそんなにこだわる!?」
「そりゃ美少女の裸体が見たいからに決まってるでしょ」
「正直でよろしい!!!」
結局、スピカちゃんの勢いに押されて一緒にお風呂に入ってご飯を食べてから帰ることに。
まぁ美少女の裸体が見られたのは私もだし満足だよ。
クソ適当に身体洗って出ようとしやがったから私が念入りに洗ってあげたけどね。
「サキ先輩そんなにあたしの身体触りたいんスかぁ~?」
沈めてやろうか。
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