更なる地獄へ
『《サキママ/狐舞サキ》もういっそ殺してくれ《ミラライブ三期生/個人勢VTuber/ASMR》』
「ブラウザバックを推奨、今すぐに」
「ということで今日は母娘コラボでASMRをやっていきます。サキはまだ不慣れだと思うので私が色々教えていく感じになると思います」
「母親が声作ってるのも配信慣れしてるのも私の隣にいるという事実も全てマジで信じたくない」
【コメント】
:神回ktkrwwwwwwww
:なんかデジャブ
:相変わらず可愛いんだよなぁ
:どっちも推せすぎる
「ていうかお母さん、何このゴツいマイク。多分マイカちゃんでもこんなの持ってないよ」
「ASMR用のマイクよ。結構高かったけどお父さんに買ってもいいかって聞いたら即答でOKだったのよ?」
「もう私の家ダメかもしれない……。ちなみにこれいくらしたの」
「大体100万くらい?」
「ひゃく!?!?」
「もう、ASMRで叫んじゃダメじゃない。リスナーさんたちの耳を労わってあげなきゃ」
【コメント】
:ハナからもうASMRとして聞いてない
:ちょっとぞわぞわする音質の漫才ぐらいの気持ちでちょうどいい
:鼓膜ないなった
:サキちゃんのASMRなんてASMRだと思ったら負け
「……ちなみにお父さんは何に使うか知ってるの?」
「うん、サキがVTuberやってるって言ったらなんかOKもらえたわよ」
「もう絶対この配信聞いてるじゃん!!!」
そうツッコミを入れた直後にRINEの通知が。
ぱっぱ:なんか耳ぞわぞわする
「終わった。ねぇ見てこれ、隣に実のお母さんがいてお父さんが配信聞いてる状態で配信なんてできると思う??」
そう言ってRINEのスクショを配信画面に載せる。
【コメント】
:お父さんかわいいwww
:ASMR初心者でこの音質と声だったら耳溶けるわな
:本人からしたら地獄すぎる
:てかこの母娘の家族なのうらやましすぎる
「ていうかお父さん確か今イギリスだよね?時差的に今仕事中じゃないの?」
その直後、またRINEが。もう嫌な予感しかない。
ぱっぱ:今イギリス人の同僚の耳にイヤホン差してみたからなんか囁いてみて^^
「仕事中に何やってんだあの人」
「Hi, there. I'm his wife. W-I-F-E♡ Thank you for getting along with him. I'm cheering for you with your job(どうも、その人の妻です。つーま♡旦那と仲良くしてありがとうございます、お仕事頑張ってくださいっ)」
「何の躊躇いもなく囁くしびっくりするぐらい流暢だしもう最早怖いんだけど」
「普段からASMRやってたら海外のリスナーさんも時々来てくれるからね。リクエストに応えるために苦手だったけど英語勉強したのよ」
「勉強の動機が本当に終わってる」
「そういえば海外ニキからは『WAIFU』って呼ばれることもあるわね。嫁って意味とはスペルが違うと思うのだけれどどういう意味か知ってる?」
「知ってるけど絶対知らない方がいいと思う」
【コメント】
:あの内容じゃ仕方ない
:そりゃそうだ
:絶対知らない方がいい
:むしろサキちゃんが知ってるのwww
「コメント見る限り物凄い不安なんだけどお母さん普段どういうASMRしてるの?いや別にものすごく知りたくないんだけどさ」
「大体は睡眠導入で耳かきしたりジェルボールしたり囁いたりするけど、時々リクエストで筋トレしてほしいって言われるからやることもあるかな。腹筋とかスクワットとか?最近あんまり運動とかしてなかったから結構きついのよね」
「そりゃWAIFU扱いされても仕方ないわ。おいお前ら人の母親に対してなんてこと要求してるんだ恥を知れ。あとお母さんもリクエストされたからってやるんじゃありません。お父さんが泣くぞ」
「ASMRやってるって言ったら『また今度聞きに行くわ』って言ってたしいいんじゃないかしら」
「止めろよ旦那ぁ!!!!」
自分の嫁がASMRやってるのを止めるどころか自分も聞きに来る????
どういう神経してるんだうちの父親は、いやうちの両親は。
「そういえば今チャンネル登録者ってどれくらいいるの?」
「この前やっと30万人突破したところだったかしらね。言うてサキには到底及ばないわよ」
「30万!?ASMRだけで!?」
ちなみに今の私がもうすぐ80万人に届こうかというところ。
とはいえこちらは企業所属。できることも多いしコラボなどでは再生数も稼ぎやすい。それに対してASMR一本で30万。化け物か。
「あぁ、そういえば配信でサキの子どもの頃の話とかやらかしてたエピソードとか話すとその切り抜きが妙に伸びてたりするわね。ふふ」
「『ふふ』じゃないが!?何言った?ねぇ何言った??」
「サキが中学生の頃、デートに誘われすぎてスケジュール調整ミスって最終的に男子5人とデートしてた話とか?あの時は笑ったわぁ」
「ねぇほんとにやめて!?マジで黒歴史なんだから……」
イギリスの中学に通っていた頃のことだ。
アジア人であるサキが珍しかったということもあって、結構な頻度でお出かけに誘われていたのだ。
その度に相手が楽しめるようにと色々考えて行動した結果、また誘われるわ他の人からも誘われるわで最終的にはお母さんの言った通り、スケジュール調整が不可能なまでに予定が詰まる結果となったのだ。
「あんだけモテててなんで一人の彼氏も作らなかったのか不思議だわぁ。どうせなら白人とのハーフの孫がほしかったのに」
「当時中学生の娘に対してなんてことを!?」
【コメント】
:悲報、ここまでASMRほぼなし
:終わってるwww
:もうASMRマイク使ってるだけの漫才じゃねえか
:サキちゃんASMR向いてないよ
:この親にしてこの子あり
その後もASMRなんて一切なかったとだけ言っておこう。
『《サキママ/狐舞サキ》もういっそ殺してくれ《ミラライブ三期生/個人勢VTuber/ASMR》
1分前に配信済み
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