オタクが集まるとこうなる 4

場面は少し飛んで、遂にラストダンジョンの最奥の間付近に。

このゲームは『唯一神がいなくなった世界で偶然創世の力を手に入れた主人公が、他のライバルたちを撃破して自分が望むままの世界を創る』というのが最終目標。


また、今アリスたちがプレイしているルートでは作中で『貶められた存在』と表現され、今の神々に恨みを持っているカディシュトゥたちや、創世のサポートのために女神となったヨー〇ちゃんと一緒に世界を混沌に導くか、正ヒロインであるもう一人の女神と協力して唯一神に代わって新しい世界の秩序を保つかの二択となる。


「むしろなんでこんな世界の秩序を私が守らねばならないのか」


「それはそう」


ちなみにここでの二択はこれまでの主人公の言動によって自動的に決まり、例えば普段は混沌の悪魔たちに迎合していたのに最後の最後で秩序を求める、といったプレイングはできないようになっている。

そもそもこの二人がプレイすると嫌でも自動的に世界が混沌に陥ることになるのだが。


【コメント】

:属性調整とかなく本心で混沌なの終わってる

:解釈一致

:混沌そのものの存在とミラライブに混沌をもたらすものだしな

:てかここまで来るの早すぎない?


「ミラライブに混沌をもたらすってなんだよ、私が来る前から十分混沌としてただろうが」


「主に二期生のせいでね」


「二期生の当人ってその認識あるんだ」


「なかったらただの化け物だよ」


「どちらにせよ化け物ではあるよ」


「サキちゃんにだけは言われたくないなぁ」


そのままサクッとラスボスまで撃破して世界に混沌をもたらすアリスちゃん。

どうやらこのルートでは今の世界を丸ごと消して原初の闇からまた新たな世界を創ることになるらしい。


それだけ見ると一見バッドエンドのようにも見えるがこのゲームにはトゥルーエンドやバッドエンドといった概念は基本的には存在せず、プレイヤーがどういった世界の創造をしたいかによって選ぶルートが変わるといった感じだ。


一応このゲームの想定では一周あたり80時間くらいが想定されているらしいのだが、クリアタイムを見てみるとなんと10時間と少し。

いくら色々な要素を無視して進んできたとはいえ、物凄い速さだ。


……ん?10時間?


とんでもないことに気付いた私は手を伸ばして締め切られたカーテンを開ける。

まぶしい。


「目が、目がぁ~。皮膚が焼けただれちゃうよぉ~」


「ム〇カなのか吸血鬼なのかどっちかに……ってそうじゃなくて、もうこんな時間なの!?」


【コメント】

:気づいてなかったのか

:何気にサキちゃんが徹夜してるの見るの初だな

:なんかもうRTA並みのクリア速度じゃん

:もう何パートか続くものだと思ってた

:アリスちゃんは徹夜慣れしてるっぽいけどサキちゃんは珍しいな


気づいたら朝になっていたなんてかなり久し振りだ。

前は確かミラライブに入る前に先輩たちの予習をしていた時だったか。

もうこんな時間だと認識すると途端に今まで麻痺していた眠気が襲ってきた。

自然と瞼が下がっていくのを感じる。


「楽しい時間ってほんとに早く過ぎてくよね~」


「それはそう、だけど流石に眠くなってきたよ……」


「ちょっと雑談タイム取ろうと思ってたけど……じゃあこの後一緒に寝よっか」


私の胸にもたれかかりながらそう言うアリスちゃんのその言葉を聞いて一気に目が覚める。


「よし、ということで今回の配信はここまで!じゃあなお前ら、私はアリスちゃんと添い寝してくるぜ」


「私から提案したことではあるけどそこまで乗り気だと流石にちょっと怖いんだけど???」


そんなことを言いながらも締めの挨拶をしたアリスちゃんは配信を終えてPCの電源を落とし、私の膝の上から降りる。


「じゃ、おやすみしようか」


そう言ってベッドの方に私を引っ張るアリスちゃん。


「え、さっきのって配信上での冗談とかじゃないの?」


「そんなわけないじゃん!何気にお友達とお泊りするの久し振りだし、もしかしてサキちゃんは私と寝るの嫌だったりする……?」


「喜んで添い寝させていただきます」


こんな美少女に上目遣いでお願いされて断るなんて男が廃る。いや女だけど。


「そうと決まれば……」


「わわっ!?」


急に力を込めて引っ張ってきたアリスちゃんにされるがままにベッドに倒れ込む。

そしてそのままアリスちゃんも同じベッドに入ってくる。というか。


「近くない?」


「えぇ~?そんなことないよぉ?ていうかさっきまで密着してたんだし今更じゃない?」


仰向けに寝転がる私の傍らに寝転がるアリスちゃん。というか私の腕を枕に、私の足を両足で挟んで完全に抱き枕にしている構図だ。


「流石に鈴子先輩じゃなくてもこれは襲いたくなっちゃうよアリスちゃん」


「サキちゃんだったらいいよ?」


冗談紛いにそう言うと無邪気に受け入れてくるアリスちゃん。


なるほど理解した。普段なぜかよく私がたらしと言われているのかが。

多分このアリスちゃんみたいな言動を無意識のうちに他のみんなにもしているのだろう。知らんけど。


そりゃたらしとか言われても仕方ないわ。


「とはいえ……」


私の腕の中で目をつむって気持ちよさそうにしているアリスちゃん。流石に「どいて」と言えそうにもない。


どうやら今回攻略されてしまったのは私の方のようだ。


距離の近すぎるアリスちゃんを負けじと抱きしめ、目をつむるとすぐに私の意識は闇の中へと落ちてゆくのだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



アトガキ

今回で自己満回最終回でございます!!!

次回からはまた普通の話を書いていくのでどうか許してつかぁさいなんでもしますから。サキが。

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