幽霊より怖いメンバーでのGhostphobiaなのにゃ 2

一つ前の話をゲームの内容に合わせて少し変更しました。

とはいえ使う言葉が少々変わっただけで流れは変わっておりませんのであしからず。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



『じゃ、みーちゃんもやられたことだし、やることやったら一旦帰ろうかモモカちゃん』


『あれ?でも種類の特定ができてないんじゃ?』


『まずスピボに反応したでしょ?で、さっき確認したら温度が氷点下になってたの。その特徴があるお化けの中であの襲い方してくるのは『怨霊』って子だけなんだよ~』


『へ、へぇ……。流石はベテラン調査員……。しれっと怨霊とかいう恐ろしいワードが出てきましたけど、案外アリス先輩って頼りになるかも……?』


『あ、そうだこれあげる』


そう言ったアリスがモモカに手渡したのは一つのカメラ。


『……これは?』


『このゲームね、お化けが起こした怪奇現象の写真を撮って帰ると追加でお金がもらえるんだ。だから、ね?』


『ついさっき一人殺されたばっかりなんですけど!?帰らないんですか!?』


『あ、ちなみに殺された調査員の写真もお金になるから屈伸しながら写真を撮るといいよ』


「なんで味方に煽られなきゃいけないのにゃ!?」


『は~い、死人に口なしだよ~』


「アリス先輩ひどいにゃ!!!」


そう言い返すミタマの声はその直後に聞こえなくなった。このコラボのためにBiscordのサーバーを作ったアリスが鯖主権限で強制的にミュートにしたためである。


『じゃ、とりあえず四、五枚あれば大丈夫だと思うから襲われないように気を付けながら頑張ってね~』


そう言いながらアリスは慣れた手つきで蝋燭を設置し、それに火をつけると、モモカを置いてそそくさと建物の外に出てしまう。


『な、なんで一緒にいてくれないんですか……?』


『だって、全滅しちゃったらお化けの種類が分かっても失敗扱いになるんだもん』


『それ暗に、私だけなら別に殺されてもいいみたいなこと言ってません!?』


『そーともゆ~』


『正直だなおい!!!前言撤回だよ頼りになるとか思った私がバカだったよ!!!』


そんなやり取りが終わると、アリスは自身もBiscordをミュートにして満面の笑みでリスナーに向けて言う。


「このゲームには襲撃のクールタイムがあるから今は安心できるってことを知らずに怯えながら写真を撮るモモカちゃん、絶対可愛いからみんな見に行ってみな?」


【コメント】

:終わってるwww

:流石サイコ

:ほんとかわいそうwww

:この笑顔である

:ほんと楽しそう


そしてその数分後。

もう半泣きのモモカがアリスにカメラを手渡す。


『せ、せんぱぁい……。一応写真撮れたんですけどどうですか……?』


『か、可愛い……!抱きしめたいこの泣き顔……!!むしろお化けに殺させて私のお友達に加えるのが正解だったかも……?』


『変なこと言ってないで確認してくださいよ!!!怖かったんですから!!もう戻りますからね!!』


『うん、大丈夫だよ!ちゃんとオーブも消えた蝋燭もミタマちゃんの死体も……お、骨の写真まである!偉いねモモカちゃん~』


『100%ずっとこのめちゃくちゃ可愛らしい先輩であってほしい本当に』


ご機嫌なアリスと疲労困憊のモモカは乗ってきたトレーラーに乗り込み、無事に初プレイを終えたのだった。



『はい、ちゃんと怨霊さんで正解だったみたいだね!写真もちゃんと点数になってるしモモカちゃん素晴らしい!』


『ふむふむ……なるほど、誰かが殺されちゃってるとここでお金が減らされるんですね』


『そういうこと!てことでみーちゃんお帰り~。残念ながらお化けに殺されてもゾンビにはできないんだよね……』


「急にミュートにするなんてひどいにゃ!ていうかなんで二人をスルーしてみーが襲われたのにゃ……。理不尽だにゃ……。あとしれっと後輩をゾンビにしようとするのはやめるにゃ」


『だって、みーちゃんったらモモカちゃんに色々教えすぎだもん。初心者さんが怖がってるのを見るのが一番楽しいんだから、メッ、だよ』


「正論みたいな顔して後輩の怖がってるところが見たいだけなのが伝わってくるにゃ」


『はいはい、じゃあ次のお仕事行ってみよ~』


未だご機嫌のアリスが次のクエストを開始する。今回の建物は山の中の大きな丸太小屋のような雰囲気で、お化けが出てこなかったとしても不気味な雰囲気だ。


「このマップは広いから手分けして探していくにゃ」


『あ、ちなみにちょっと難易度上げて電気点かなくしてるから、今回はブレーカーを探して電気を使えるようにするところからスタートだよ』


『なんで二回目からいきなり難易度上げられなきゃいけないんですか!!?』


そう怯えるモモカを先頭に、三人はそれぞれ懐中電灯や温度計などのアイテムを持って建物の中に入っていく。

懐中電灯の光に切り取られて垣間見える内装はボロボロ。ところどころに置いてある朽ちた人形などが恐怖心を更に煽ってくる。

先ほどの建物では最初から電気を点けることが可能だったこと、見た目や内装は普通の民家といった様相だったために抑えられていたモモカの恐怖心は今や比べ物にならない。

配信上の視点はもうガクブルである。


「あ、こっちにはないにゃ……。モモカちゃん、多分モモカちゃんの近くにブレーカーがあると思うから上げてほしいにゃ」


『わわ、わかりましうわあああああああ!?!?!?何!!何!?!?カチコミ!?』


「何があったにゃ??」


『なんかぬいぐるみが!!ぼろぼろのくまさんが!!顔面に!!』


『このゲームのくまさん可愛いよね~』


『どこがですか!!バ〇スみたいな見た目なんですけど!?』


【コメント】

:とっさにカチコミとかいう言葉出てくるのな

:バグ〇草

:こんなに楽しそうなアリスちゃん久し振りだ

:ホラー苦手系ヤクザかわいい

:まさかのモモカちゃんもメガ〇ンプレイヤーとは

:可愛くはない(断定)


『わっ、よく知ってるねモモカちゃん。私の部屋にそれに似たぬいぐるみ置いてあるよ』


『もしかして先輩このゲームの住人なんじゃないですか!!??……あ、もしかしてブレーカーってこれか……?』


そう言ったモモカが部屋の壁に設置してあったブレーカーを上げた直後、すでに電気のスイッチを押してあった部屋の照明が一気に点いた。明るくなったことによって不気味な雰囲気は多少マシになったが、明るくなって部屋の内装がはっきり見えるようになったことによって生じる恐怖も存在する。


『ねぇ何この部屋!?血まみれのぬいぐるみが山積みされてるんですけど!?もうこれが怪異ですよ!絶対いつか襲い掛かってくるんだぁ!』


「思ってた以上にモモカちゃんがこのゲーム楽しんでくれてるみたいで嬉しいにゃ」


『ねぇねぇみーちゃん、これからはホラゲーするときはモモカちゃんも呼ぼうね』


「大賛成だにゃ」


『大反対です!!!!!』



不憫なモモカの夜はまだまだ始まったばかりである。

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