誕生日記念配信 2
「さてさてさて、凸来てくれた次の人はこの方です!!」
『金くれ』
「はーい、ミラライブ随一の守銭奴こと、金宝ユウカ先輩で~す」
『どうも守銭奴で~す!って、紹介の仕方おかしいやろ!!』
「ほなどんな感じで紹介したらええの?」
『ミラライブを牽引してきた絶世の美少女!笑いを愛し、笑いにアァァァァイされ』
「それ以上はほんまに怒られるからやめて!?」
『相変わらずキレッキレのツッコミ最高やな、あ、たんおめ~』
「そんな思い出したみたいに……。そういえばユウカ先輩がくれたお酒は……」
……。……カップ酒?
『ウチもゆーてあんまお酒飲まんねやけどな、前にそれ飲んだら一個でべろんべろんになったし次の日にも残ったからサキちゃんにも飲んでもらお思て。しかも安い!とにかく安く酔える!』
「絶対選んだ理由の大半は値段やろ!?てか次の日に残るようなお酒をなんで!?」
『えー、どうせサキちゃんお酒強いやん?ほなら潰したい時に何飲ませたらええか研究しとこかなって思て』
「今んとこ言うてること鈴子先輩と同等かそれ以下やで」
『だってまたサキちゃんの身体堪能したいもん。てか酔っぱらったサキちゃん絶対可愛いやん?今度飲み行こな』
「一から十まで語弊しかない。てか今んとこ来てくれた先輩どっちも私のことどうこうしようとしてて普通に怖いんだけど。え?もしかして後輩いびりってやつ?」
【コメント】
:確かにサキちゃんが酔ったらどうなるのかは気になる
:絶対可愛い
:大暴れしてほしい
:……まぁ。期待しないで期待しておくか
『ほらほら、リスナーも言うてるやん?はい、イッキ!イッキ!』
「ほんとに終わってんなぁミラライブ」
そう言いながら手元のカップ酒を開けて一口飲んでみる。
「わっ、結構アルコール強いな……ゴクッ……ゴクッ……」
『お?強いて言いながら結構がっつりいってる?』
「やばい、私お酒好きなのかもしれない。アルコールの感覚がクセになる。てかこれおいちぃ」
『ん?あぁ、気に入ってくれたんならよかったわ……ちょっと既に呂律心配やけど大丈夫?サキちゃん酔っぱらってない?』
「んぇ?だいじょーぶだいじょーぶ!まったくもうユウカ先輩ったら優しいんだからぁ」
『あ、これやばいかもな。サキちゃんが案外酒に弱いこと分かったし、ウチはこの辺で退散しとこーっと』
【コメント】
:逃げたwww
:責任放棄しやがったぞww
:ほんとに酔ってるの?
:意外な弱点きたか?w
:そりゃカップ酒イッキしたらそうなるわな
:この調子でこの後の配信大丈夫か?
「……あれ?ユウカ先輩?帰っちゃった……?」
まずい。私が案外そこまで強くない体質だったのか調子に乗ったイッキが効いたのか分からないが、頭が回らない。舌が回らない。これが酔うって感覚なのか……?
そう思った矢先、
「あ、イナ先輩お疲れ様っす!うぃーっす!」
『うわぁ、サキちゃんもしかしてもう出来上がってる?』
次はイナ先輩が凸に来てくれた。この人なら変なこと言いだすなんてあり得ないから安心だ。やっと安心できる人が来た。
「ん-、ちょっとだけ酔っちゃってるかなぁ?みたいな?えへへ」
『なんだこの酔っ払い可愛い、うちに来てほしい』
「えー!イナ先輩の家行っていいんですかぁ!?いつでも喜んで行きますよぉ!いつ空いてる?どこ住み?てかRINEやってる?」
『なるほど、サキちゃんは絡み酒タイプか。最高だなおい』
【コメント】
:最高だなおい
:もう完全に出来上がってらっしゃる
:なんだこの可愛い生物
田所鈴子🔧:¥10000
:まさか酒雑魚とは
:誕生日配信だよねこれ????
『私はいつでもOKだからまた今度予定合わせよっか!ちなみに私からはお酒は贈ってないよ、私自身あんまりお酒に詳しくないしね。てかとりあえず代わりに一旦お水飲んで落ち着きな?』
「ふぁぁ……イナ先輩優しい好き……結婚しよ」
『切り抜き班。仕事の時間だ』
イナ先輩に言われた通り、冷蔵庫から水を出して喉に流し込む。さっきのアルコールの刺激とは対照的なただの水がすごく美味しく感じる。そしてそれと同時に酔いも一度ブレーキがかかったような感じだ。
……。
「ふぅぅ……お水おいしい」
『あんま飲みすぎちゃダメだよ?てか色んな種類のお酒飲んだら良くない酔い方するから絶対にやめるんだよ?』
「あなたがママか」
『サキちゃんのママに怒られるからやめて!?私はただ一人の先輩として!大人として!当たり前のアドバイスをしてるだけです!!』
「イナママぁ」
『ああああああああああなんだよこの可愛い生き物は!!!リスナーのみんなよかったな、今みんなは伝説を目の当たりにしてるぞ!!」
【コメント】
:もう口角どっかいった
:切り抜き班だけど切り抜くところがない
:こんなにあざと可愛いの初配信以来か?
:伝説の頻度がおかしいこの狐
水を飲んだりイナ先輩と話したりしてるおかげで酔いは少しマシになってきた。その代わり少し眠気が来たけど。
「……ん?そういえばさっき私なんか変なこと言いました?」
『え?ああ大丈夫大丈夫、サキちゃんさっきから変なことしか言ってないから後で切り抜きとかで確認しな~」
「そっか、なら大丈夫ですね~」
『うんうん、じゃあ後ろが結構つっかえてるみたいだから私はもう落ちるね~!また今度一緒に配信しよ!』
「はいもちろん!ありがとうございましたぁ~」
後にここの切り抜き動画の再生数が物凄いことになるのも、それを見た私が羞恥のあまり顔を真っ赤にしてベッドの上でじたばたすることになるのも、それは別のお話である。誰が何と言おうと別のお話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます