誕生日記念配信 1
『《狐舞サキ》狐舞サキ誕生日記念凸待ち《ミラライブ三期生》』
「酒だー!!!!」
【コメント】
:第一声がそれは草
:20歳おめでとう!!¥10000
:誕生日おめ!!¥10000
:晩酌配信とか楽しみにしてるで!!!!¥10000
Sally:飲みいこ飲みいこ飲みいこ
さて、ミラライブに入ってもう結構な月日が経過し、私もついに20歳の誕生日を迎えた。今日はその記念配信である。
こんな感じで私の誕生日をお祝いするコメントが今までで一番の速さで流れており、配信開始から数分で既に同接は2万を突破。しかもまだまだどんどん伸びている。
こんなに多くの人に自分の誕生日を祝ってもらえるなんて今までになかったことだから普通に感動して涙が出そうだ。本当にありがたいことだよ。
「いやぁ……ほんとにみんなありがとう……。私ゃ幸せ者だよ……。スパチャとか無理して投げなくていいのに……。あとサリー、お前はまだ19だろふざけんな」
【コメント】
:なんだよやけに素直じゃん¥10000
:わかった無理しない¥20000
:かわいいかよ
:おばさんみたいな喜び方するやん
:ちゃんとツッコミ入れるの草
:誕生日プレゼントと考えればこれくらいは、ねぇ?¥15000
「あ、そうだ。ちょっとみんなに見てほしいものがあるんだよね。ねぇこれどう思うよ」
そう言って私が配信画面に表示させたのは一枚の画像。映っているのは私の部屋の一角に置いてある一つの冷蔵庫である。
「これ、私のお母さんからの誕生日プレゼントらしいんだよ。今日ちょっと出かけてて帰ってきたら置いてあったんだけどね。……どこの世界の母親が娘の20歳の誕生日に冷蔵庫を贈る!?!?」
ちなみにこの中には同じくお母さんからのプレゼントであるビールとかハイボールとかの酒に加えて、ミラライブの成人しているメンバーから贈られてきたお酒も入っており、凸に来てくれた人がくれたお酒を飲みながらお話ししようというコンセプトである。
「この冷蔵庫の中にはまだ私も何が入ってるか知らないんだよね。正直不安でしかない」
ミラライブのライバーなんて狂人か変人か奇人しかいないんだから贈られてきてる酒だってまともなのだとはどう考えても思えない。正直言って恐怖でしかない。
「さてさて、早速凸に来た人が……はぁ……。よりにもよって最初がこの人かよ……」
『やぁ、サキちゃんのお友達のみんな久し振り!鈴子お姉さんだよ!みんなのサキちゃんの尻穴は今日は私のものだ!!』
「まるで私のお尻がリスナーのものみたいな言い方辞めてもらっていいですか?あと今すぐ帰ってもらってもいいですか?」
【コメント】
:サキちゃんの尻は俺のものだ
:相変わらず挨拶が終わってる
:安定の雑な扱い好き
:サキちゃんの尻は俺たちのものだろ?
Sally:サキの尻は私専用だが?
「ほらなんか変な勘違いしてる人たち湧いてるし……」
『サキちゃんのお尻はいつか堪能するとして、お誕生日おめでとう!早速乾杯しよう!」
「プレゼントのお酒に媚薬とか入れてないですよね?」
『いやぁ、入れようかギリギリまで迷ったんだけどそれはオフでの晩酌コラボの時に取っておくことにしたんだよね~。てことでサキちゃんいつ空いてr』
「それ聞いてホイホイついてくアホがいるとでも思ってるんですか?えーっと、鈴子先輩からのお酒は……え……?これ、普通の梅酒ですか……?」
『そう、それ私のお気に入りのやつなの。サキちゃんお酒飲んだことないだろうから、あんまり強いのはオススメしにくいし。そのお酒だったら炭酸とかで割って飲んだら美味しいから試してみて』
「いや待て待て待て待て待て、あんた本当に鈴子先輩???ユウカ先輩が声真似してるとかじゃないですよね?田所の部分息してませんよ?」
【コメント】
:サキちゃんの反応が正解だよ
:なんだこの綺麗な鈴子
:何を企んでるんだ
:田所の部分www
:梅酒に見せかけて何か変なのだったりしないの?
『失礼な。まさか私が常に下半身でものを考えてるような変人だなんて思ってるんじゃないでしょうね』
「一言一句違わずその通りですが何か問題でも?」
『それでいいのよ。ちなみにお酒は実は下の口かr』
ブツッ!!!!
「はい、ということで最初に来やがったのは二期生の田所鈴子先輩でした!!最悪の始まり方だよちくしょう!!!!」
【コメント】
:ねぇほんとに終わってる
:なんでBANされないのか
:安定の途中退場
:で、結局お酒はどうなの?
:最初と最後の発言のせいで鈴子実はまとも説が一瞬で消し飛んだ
「そいやお酒飲むの忘れてたな、炭酸水は……うわぁ、ちゃんと完備されてる」
冷蔵庫の中には炭酸水だけでなく、カクテルを作るためであろうジュースなどまで。なんだろう、うちのお母さんは私をアル中にでもしたいのかな?
「てか炭酸で割るって言ってたけどどれぐらいの割合がいいんだろう?相場はどんなもん?」
【コメント】
:ロックでいこう
:100:0でええんやで
:1:1ぐらいが無難じゃない?
:そもそもまず毒見からだろ
:サキちゃんがお酒飲めない体質って可能性もあるし薄目の方が
「ふむふむ、最初は薄めの方がいいのか。でも多分私お酒強いんだよねぇ……。お父さんもお母さんも酒豪だから遺伝子的にさ」
そう言いつつも、一応グラスに注いだ梅酒を1:1ぐらいで割ってみる。ま、問題はアルコールどうこうよりこれが鈴子先輩から送られてきたものだってことなんだけど。
「もしこの後私に何かあったらみんなで通報してね。犯人は鈴子先輩」
そんなことを冗談紛いに言いながら、初めてのお酒を一口飲んでみる。
ふむ。
案外薄い味わいかな。てか普通に美味しい。あのモンスターから送られてきたものだとは思えない。
「これ結構好きかも。あと多分だけどやっぱり全く飲めない体質ってわけじゃなさそうだね。この後どれだけ飲んだら酔い始めるのか試してみるのもありかな」
【コメント】
:ほどほどにね
:……サキちゃんが酔っぱらってるところなんて想像できないんだが
:完全耐性持ってそう
:ラスボスに毒物に属するものが効かないのはテンプレだろ
:これで酒雑魚だったら意外かつ最高の弱点すぎるな
:少なくとも配信でやることではない
:安全のために同期かサリーちゃん召喚しといた方がいいんじゃ
「あ、安全面に関しては大丈夫だよ!実は多分この配信お母さん見てるから……。非常に不本意ながらね……。実の親に毎回配信見られるってどんな拷問?って感じだけど……。あとサラっと私のことラスボス扱いしてんじゃねえよ!至って普通の女の子でしょうが!!」
その直後のコメント欄が「それはない」「嘘つけ」といったコメントで溢れかえっていたことは言うまでもないだろう。
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