四期生初配信 3
『《白井モモカ初配信》ぁたしのガチ恋になってね♡《ミラライブ四期生/新人V》』
11293人が待機中 20:00に公開予定
【コメント】
:さて今回はどんなイロモノが来るのか
:可愛い予感
:もう期待しかない
:頼むから可愛いのであってくれ
:もう不安しかない
:はいはいどうせおもしれー女
「どうも、初めまして~!今回ミラライブ四期生としてデビューすることになりました、白井モモカっていいます!みんな気楽にモモちゃんとかで呼んでください!」
「ほう」
そんな感嘆の声が思わず漏れるほどには可愛い。ちゃんと可愛い。
黒とピンクを基調にした衣装に、可愛らしい声と話し方と表情。ハーフツインの黒髪もよく似合っている。普通に好き。
「ま、あたしのことは自己紹介見てもらったらわかると思うからとりあえず見せるね~!」
そう言ってモモカちゃんは先の二人と同じように一つのファイルを画面に表示させる。
名前:白井モモカ
種族:人間(地雷)
年齢:内緒♡(22歳)
詳細:ちゃんと可愛い女の子ですよ。少なくとも視聴者の皆さんの前では。
「あれぇ?マネちゃん……?」
【コメント】
:22歳wwww
:実年齢なんかな?
:皆さんの前ではってどういうことだ
:裏だと性格違うのかな
:アリスちゃん以来の詳細の短さだ
:実際はどんな性格なんですか
「なんか変なこと書かれてるなぁ……あとでちょっとマネちゃんとお話しなきゃかな」
一瞬声のトーンが少し下がる。それと同時に背筋に妙な寒気が。まるで昔門限を破ってお母さんに怒られた時のような……。
【コメント】
:あ、察し
:そういうことね
:マネちゃん逃げてぇ超逃げてぇ
:まぁでも地雷系女子なんてそんなもん
:さらっと「人間(地雷)」なのほんまwww
「はぁ……ちょっと説明させてね。まず、年齢はこれ実年齢じゃないよ!!今後晩酌配信とかやっていきたいから、未成年ってテイだとまずいでしょ?だから22歳ってことにしてるだけで本当の年齢はヒ・ミ・ツ♡」
そう言って可愛らしくウインクするモモカ。ちくしょう可愛い。自分の見せ方をよく分かっていらっしゃる。
確かに、勝手なイメージではあるが地雷系女子といえば酒缶を片手に持っている姿が容易に想像できる。もし17だの18だの言っていたら流石にマズい。納得できる説明だ。
……可愛い声のはずなのに妙にドスが効いていなければ、だが。
「で、地雷っていうのは見てのとおりの地雷系ファッションのこと!これめっちゃ可愛くない!?仕立ててもらった時可愛すぎて感動しちゃったよぉ~」
早紀自身はあまりファッションに頓着がなくてそういった分類にも詳しくないタイプの人間だが、それでも彼女の立ち絵のデザインが素晴らしいことはよくわかる。程よいサイズの胸が強調されつつも下品さはなく、リボンや細部の装飾がモモカの可愛らしさを引き立てている。機会があれば、そして似合う顔面があれば是非あんな衣装も着てみたいものだ。
……なんてことは考えないようにしよう。あの運営やマネージャーのことだ。いつ新衣装が送られてくるか分かったものではない。
「で、みんなの前では可愛いけど……みたいなこと書かれてるけどあたしはどこでもこんな感じだよ?マネちゃん何言ってるんだろうなぁはにゃにゃにゃぁ~?って感じ~」
【コメント】
:可愛いは正義
:俺らの前で可愛いならいいか(脳死)
:殴りたい、この笑顔
:まぁどうせすぐに本性出てくるだろ、実際般若がひょっこりしてたし
:性格はともかく見た目本当に好き
:晩酌配信楽しみだな
雪降マイカ🔧:晩酌コラボしましょう絶対に。いつ空いてる?
「わっ、マイカ先輩!!いつも動画見てます~!あたしはいつでも大丈夫なので先輩の都合のいい時に誘ってください!!」
いいなぁ、晩酌配信。私も参加したいけど誕生日までもうちょっとあるからなぁ……。
そうだ、20歳の誕生日記念で飲酒コラボ配信とかしても面白そうだな。ミラライブでお酒飲める人集めて大人数でわちゃわちゃしたら楽しいだろうなぁ……。
そんな他愛のないことを考えている間にもモモカちゃんは追加で自己紹介したり、視聴者のコメントを拾って面白く、可愛く返したりしている。初配信だというのに特に緊張した様子もなく、前の二人みたいなダメな一面を晒すこともなく配信は順調に終わりの時に近づいてきていた。
ていうか、普通に配信慣れしてるというか妙に手慣れた雰囲気を感じる。もしかしたらミラライブに入る前に何か他の名義で活動してたとかなのかな。
「さてさて、それじゃそろそろ時間だから終わろうかな!こんなに楽しいと時間が過ぎるのがあっという間すぎるよ~……。明日からもいっぱい配信するからあたしのこと気になったらぜひ遊びに来てね!それじゃ、まったね~!!」
そう言って配信終了画面を映し出すモモカ。
【コメント】
:まさか本当にただ可愛くて面白い子だとは
:お前本当にミラライブか?
:今後の配信に期待、いや期待しちゃダメだなうん。
:一人ぐらいはまともな人がいてもいいよね
:普通に一番好きかもしれん
そんな感想コメントが次々に流れていっているわけだが、そんな中のことである。
プシュッ。
そんな音が、彼女の配信から聞こえてきた。
そしてその直後。
「あ、もしもしマネちゃん?」
「おっと、流れ変わったな」
まぁ。ミラライブの新人がこんな普通に可愛い子なわけがないのだ。何かしらやらかすとは思っていたがまさかマイク切り忘れとは……。普通にプライバシーとかヤバイかもだし、どうにかして本人に伝えるべきか……?
私だけではない、他のライバーや関係者全員が同じように考えていたことだろう。しかしそんな心配は次の瞬間に消し飛ぶこととなる。
「ゴクッゴクッ……あのさぁ、あの自己紹介のやつ何?自分舐めとる?あんま調子乗っとったらいてこますど?」
「ブフォァァッ!?」
そりゃ吹き出すだろう。さっきまで可愛い女の子してたはずなのにいきなりゴリゴリの関西弁のヤクザみたいな詰め方をしているのだから。
これが自己紹介で示唆されていた裏の顔というやつなのだろう。
コメント欄の反応も見た限りでは私と同じような感じだ。
「あぁ?よー聞こえんからもうちょいはっきり喋れやボケ…………。……。……」
直後、急に黙るモモカちゃん。こりゃマネちゃんに配信のマイクのこと指摘されたんだろうな。
「……明日はゲーム配信する予定だからみんな見に来てねっ♡きゅるんっ☆」
『《白井モモカ初配信》ぁたしのガチ恋になってね♡《ミラライブ四期生/新人V》』
一分前に配信済み
……。
…………。
いや手遅れだろ!!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます