四期生初配信 2

『《出海いずみスピカ初配信》あうあうあうあうあう緊張するうううう《ミラライブ四期生/新人V》』

9012人が待機中 19:30に公開予定


【コメント】

:くるみちゃん可愛かった

:待機人数一万超えるぞ

:待機人数やば

:タイトルから情報あんま入ってこないなあ

:あうあうあうあう

:あうあう

:雑タイトルw


ぷちゅん。


ブラウン管テレビの電源を切るときのような音とともに画面がブラックアウトしたのは配信開始予定時間になった瞬間だった。


そのまま、十数秒。


バグか、何かのトラブルかな…?


そう、思った時だった。


「はぅ…緊張するっス…」


ん…?


静寂の中で確かに聞こえた中世的な声。


「えーっと、次はこれを…」


これは…まさか…。


そして次いで聞こえてきたのはカチッというクリック音。



そして明転する画面。そこに映し出されたのは随分とごちゃごちゃした狭い部屋だった。

その中で一際存在感を放つのは3つのスクリーン、そしてその前に座る超ロングの灰色の髪の少女だ。明るい光を放つスクリーンに向かう少女の顔は確認できない。


かと思うと画面が切り替わり、彼女の手元の七色に光るゲーミングキーボードが画面いっぱいに映し出された。

カタカタ…というよりはジャラララッと聞こえるほどの超速でキーボードを叩く長く白くたおやかな指。


更に画面が切り替わると、次に見えたのは彼女の目の前に広がる3つのスクリーンだ。すさまじい速度で文字がどんどん入力されていき、どんどん上にスクロールされていく。


次の画面は少女の横顔だ。病的なまでに白く美しい肌と、比喩抜きに透き通った蒼い瞳。プルンと潤った唇の端が軽く吊り上がったと思うと、大きな変化が起きたのは次の瞬間だった。


タァンッ!!


彼女の指が勢いよくエンターキーを押す。


それをトリガーとして3つスクリーンから眩い光が放たれ、画面は真っ白に染まった。


…。


「…え?…あれ?ミュートに…なって…ない…?」


いや草なのよ。


幾何学的な背景やデコレーションを中心に構成された配信画面に映し出されるのが先ほどの映像に映っていたグレーの髪の少女。

まるで信じられないといわんばかりに綺麗な蒼い瞳が見開かれている。かわいい。


【コメント】

:え、自作OP?

:OPの完成度やばいね

:…OPは、すごかった

:初手ミュート芸かぁ

:緊張してるんだね(^^)

:終始笑っててOP見てなかった


「…っすぅぅぅ…。誰も、何も、聞いてない。いいっスね?」


【コメント】

:あっはい

:声好き

:ミラライブの伝説がまた増えた

:低音ボイスしゅき


「ふぅ…。えー、気を取り直して!あたしはミラライブ4期生でプログラマーの泉水スピカっス!いっちゃんでもスーちゃんでもスピカでも、好きなように呼んでくれたらうれしいっス!」


そう言ってスピカちゃんが画面いっぱいに映し出したのはミラライブの恒例通り彼女のプロフィール。


名前:泉水スピカ

種族:人間(学生)

詳細:プロ並みの技術を持つプログラマー女子。またクリエイティブなこと全般に適性があり、3Dモデリング、絵、動画編集、企画発案などとその才能は多岐にわたる。でもね…。致命的に、非常に致命的にPON☆あとクソ陰キャ。


「だぁ~れがPONじゃ!!おいマネージャー!てめぇ舐めてんじゃねえぞ!?オォン!?」


【コメント】

:解釈一致

:最速でポンかましといてそれは無理がある

:口悪っww

:とってつけたようなクソ陰キャ笑うんだが


「まったく…。あ、陰キャは事実っス。こうやってみんなの顔が見えてない状態で話すのは全然余裕なんスけど、誰かと顔を突き合わせて話すのがどうしても苦手で…。ま、今の時代ビスコって便利アプリとかUbarEatsとかがあるんで問題ないっスね」


そう言い放ちながら自信満々のドヤ顔をするスピカちゃん。

どう考えてもこのタイミングでのこの顔はおかしい。

まあでも可愛いから許す。



ガシャーン!ドサッ。ガサガサガサガサ…


「あやべっ」


【コメント】

:なんの音だ

:何落とした

:皿でも落としたか?w

:はいPONカウント2


「ん…しょっと…!あ、なんか知らんけど飲んでたスープの器が勝手に落ちたっス。ま、中身入ってなかったんで問題ないっスね」


【コメント】

:いや問題しかない

:ていうか落とした後の音がww

:www

:どう考えてもゴミ袋とかの音で草

:勝手に落ちたってなんだよwww


「んー?はにゃ?ゴミ袋?みんなちょっと何言ってるかわかんないっスねぇ」


【コメント】

:急に可愛いのやめれ

:はにゃww

:自分の可愛さ分かってるタイプかなw

:可愛い、が…


「あたしが可愛い…?ほらほら、訳わからないこと言ってないで今日はあたしの話いっぱい聞いてほしいっス!時間限られてるんでマシンガントークいくっスよー!!」



そのまま趣味や得意なことについての話、これからの配信でやってみたいことや目標などについて宣言通りのマシンガントークが繰り広げられた。

しかも、始めのいくつかのやらかしが霞むほどの面白トークやつよつよトーク…。


ま、これ以上はスピカちゃんとコラボするときにでも色々掘り起こしていこっかな!

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器用貧乏な私、Vtuberになって… ユエ・マル・ガメ @yue-twitter

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