初めてのマ◯カだぁ 2
ということで二回戦。私は一回目の結果を受けてカートを変更することに。
「加速と曲がりやすさのバランス…。重さはできれば重いほうがいい…。そして他の人の傾向も考えて…。ならば…」
「あ、なんとなくどんなカスタムで来るか読めたな〜」
はい、色々悩んだ結果私のカートはハ◯ちゃんバギーにワルイー◯にローラータイ◯。
可愛げのかけらもないが、勝つためだから仕方ない。多分だけど理論的に一番走りやすい…はず。
「世界中のマリカプレイヤーが長い時間かけて見つけた最強カスタムをさも当然のように一瞬で導き出す…。うんまあいつものやつやな」
「え、最適解なんすかこれ」
「とりま『え、また私なんかやっちゃいました?』とでも言うとけ」
【コメント】
:ユウカちゃんも驚なくなってきてるもんなぁ
:にしても一回走っただけでそれはおかしくないかw
:便利な言葉だ、『サキちゃんだから』
:全てを解決する魔法の言葉
:まあカスタムよくてもPSがね?ショトカとかもあるし…
「…ま、とりあえず2レース目行こか」
「シンプルなとこだといいなぁ…」
そんな私の願いとは裏腹に、次のコースは64レインボ◯ロードというコース。
「あ、レインボーロ◯ドって聞いたことあるかも。確か難しいコースだよね?」
「せやな。まあ壁ないからミスったら落下するってだけやけどな」
「ミスらなければどうということはないってやつだね」
「うん、サキちゃんがそないなこと言うたらただただ恐怖でしかないからやめて」
ユウカ先輩の言っている意味がよく分からないが、とにかくレーススタートだ。
「3…ここ…1…よし!」
「二回目にして既に完璧なスタートダッシュ…まあ、これぐらいやったら…」
一回目の他の人たちのタイミングに合わせてアクセルを踏み、完璧なタイミングでスタートダッシュを決める私。ユウカ先輩も当然成功しているが、何人かタイミングを失敗している人もいたので12位スタートだったのが数秒後には既に5位だ。
「このタイミングでドリフトっ…」
「わー…サキちゃんイン攻めるなぁ…前輪落ちてるで…?」
「なんで前にいるのに見えてるの!?」
「そりゃ後ろ確認しながら走らな甲羅とか投げられても分からんやろ?」
「あ、なるほど。私も練習しよっと」
「やめろ!これ以上上手くならないでくれ負けたくない!」
「キャラ変わってますよ…っていうか何そのジャンプ!?」
「くっくっく…いくら上手でもショトカとかの知識の差で…」
「ほい、赤甲羅あげる」
「防御っ」
「もう一個あげる」
「いや、赤2は厳しいて…」
赤甲羅でユウカ先輩を沈め、私が一位に。しかしミスらなければ大丈夫とはいえ、コースの形も分からなければ正しい走り方もわからない。
とはいえイン攻めの感覚やドリフトのタイミングなんかもだいたい分かってきた。ミスすることなく走り続け、二周目へ。
「えーと…確かこのタイミングで…ここっ!」
「っ!?二周目にしてショトカを!?」
「まあ、ユウカ先輩の見本見てたからね。これくらいなら誰でもできるでしょ」
「あー、うん。そやね〜」
【コメント】
:無理です
:初心者の動きじゃないです
:ツッコミ諦めてて草
:さも当然のようにぶっちぎりで一位なの草
先程の私のように、二位の人に赤甲羅をたくさん引かれることもなく無事に二周目も終了。
そして迎えた三周目。
「このタイミングで…」
「はいドーン」
「何これ!?」
「一回目では降らんかったから知らんよなぁ?これが全プレイヤーに平等に降り注ぐ怒りに身を任せた神の御業、『サンダー』や…!」
「なぜに唐突な厨二」
反射的にツッコミを入れるが、かなりのピンチだ。ショートカットの途中でサンダーによって被弾したため、見事に落下してしまった。
復帰している間に数人に抜かれ、一気に順位が落ちてしまった。
しかも…
「お先〜」
「キラー!?」
キラー状態で突っ込んできたユウカ先輩。一気に抜き去られてしまう。
「もしかしてこれ…やばい?」
「せやなぁ。落とサン当たるとはサキちゃん運悪いなぁ」
「絶対わざとだよね!?」
【コメント】
:明らかわざとで草
:完全に狙ってて草
:二周目の中盤あたりから持ってたもんなぁ
:かわいそw
:実力あっても勝てないのがマ◯カなんだよなぁ
結局最終順位は6位。ユウカ先輩も上がりきれなかったようで2位だが、それでもかなりの差だ。
「あ、そーいや今回は3回やってその成績で競う感じやから」
「…え?じゃあ私もう勝てないんじゃ…」
私の順位は一回目が12位で二回目が6位。それに対してユウカ先輩は1位と2位だ。
「せやなぁ。かわいそうに…。さて、サキちゃんには何買ってもらおうかなぁ」
「ハナから勝たせる気なかったやつだコレ」
「うん」
「正直でよろしいっ!!」
まあ…スパチャとかのお陰でお金にはそこそこ余裕あるから多少の奢りならいいんだけどさ…。
「あ、ロレックスでも買ってもらお」
「図々しいな!?」
さも当然のようにバカ高い腕時計要求してきたんだけど…。
「ていうか無理、破産します」
「むぅ…。ほんなら今度一緒に晩ごはん食べに行くときにサキちゃんに奢ってもらうことにするわ」
「ま、まあそれくらいなら…。あ、でもフレンチのフルコースだとか回らない寿司みたいなイカれたこと言わないでくださいね?声帯引きちぎりますから」
「急に怖いこと言い出すのやめよ!?せやなぁ…。焼肉屋にしよか」
「くっ…。それなりに高いのに拒否るのは憚られる微妙なラインを…」
「んじゃ決定で」
ちなみにスパチャやらの収益のお陰でお金にはそれなりに余裕はある。チャンネル登録者数10万人突破記念配信のときは一晩で50万ぐらいスパチャ来たし、今じゃもう50万人を超えているからだ。普段の配信でも結構な額のスパチャが送られてくるし、ちょっとでも失言したらみんなここぞとばかりにスパチャを浴びせてくる。
正直言って胃が痛いよ、うん。
「んじゃ3レース目な。どこになるかなぁ〜」
「シンプルなとこお願い…」
「サキちゃんどこでも関係ないっぽいんやけどな〜」
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