器用貧乏な私、VTuberになって…

ミラライブ麻雀王決定戦 ３

「それ、ロンにゃ！」

「むっ」

その後、なんとかミタマちゃんが早和了りでメグ先輩の親番を流してくれた。

だが。最後の親倍もあって点差はかなりのもの。メグ先輩からの放銃はほぼ考えられないし、ここからの逆転はかなり難しいように見える。

東三局。ドラは發。

「むぅ…」

配牌はかなりひどい。八種九牌で、５シャンテンといったところ。メグ先輩が連荘し、それをミタマちゃんが流したということで場の流れがほとんどこの二人に集まっている。

ならば。

「ん…？」

メグ先輩が眉をひそめる。

なにせ、私の第一打は四索。

やはり流れは左右の二人に。二人の手にはどんどん牌が入っていくものの、アリシア先輩はツモ切りばかりだし私の手にも么九牌ばかり入ってくる。

だが。么九牌ばかり入ってくるならできる手というのもある。

「その一萬、ポン！」

「九筒もポン！」

そう。もちろん全帯（ちゃんた）系の手である。どうせ集まってくる牌を活用できる上にツモ番を変えれば場の流れをめちゃくちゃにすることもできる。

「よし、加槓！」

ツモってきた一萬を加槓し、嶺上牌で九萬を引く。読みどおり么九牌が集まってくる…！

北を切り、テンパイ。混老頭の發と九萬のシャボ待ちだ。

そして、更に僥倖が。

「槓ドラは…よし！」

表示牌は八筒。ポンした九筒にモロ乗りである。

「お手本のような主人公ムーブにゃね…」

そう言って軽く笑うミタマちゃん。しかし、自分の番になってツモってその表情が変わる。

「じゃあ、立直にゃ」

どうやらこの局面でテンパイした模様。最初からどんどん手に入っていたし私が何度か鳴いたお陰でミタマちゃんのツモはいくらか増えたからか。

まあ、捨て牌を見れば大体の待ちは分かる。河の最初の方に軽く迷彩が施されてはいるが、恐らく彼女の待ちは索子の下の方。

アリシア先輩もメグ先輩もそれを分かっているようで降りはせずに安全と思われる牌を切っていく。

そして、次の私のツモ。

引いたのは八萬。当然九萬を切る。

「一発は…無しにゃ」

ミタマちゃんがツモったのは白。

アリシア先輩もツモ切り。

そして、メグ先輩の番だ。

「それ、ロンです。全帯ドラ5で親ッパネ」

「くっ…」

読み通り、メグ先輩が切ったのは七萬。

清老頭、混老頭に見えなくもない私の鳴きとミタマちゃんの立直、そしてメグ先輩の捨て牌を見て次にそれを切ると予想したのだ。

「先輩、わざわざ振り込んでくれてありがとうございますぅ」

「いい後輩を持って嬉しいですわぁ」

「ねえ！やめて！楽しくやろうよ！」

イナ先輩の悲痛な叫びはもう誰の耳にも届いていなかった。

というか、東三局にしてやっとまともな麻雀やった気がする。

一本場。

さきほどの和了りで流れが来ている。配牌時点で既に1シャンテンだ。しかも綺麗なタンピン形。

「ポンじゃ」

…と、ここまで全然動いていなかったアリシア先輩が私の第一打の九筒をポン。

ミタマちゃんのツモ番が飛ばされ、すぐに私の番が。

…と。

「うーん…立直、かなぁ…」

ツモってきた三萬で面子が完成し、タンピン一盃口確定、五八（うっぱー）筒待ちの良形。だが、アリシア先輩の早すぎる鳴きに少し決意が揺らぐ。

だが。どうせ読みようのない待ちだし、親番ということもあって立直。

そして、次のアリシア先輩の番。

「くっくっく…おいエロフ、確か暗槓への槍槓は国士無双のみ有効じゃったな？」

「え？一般的にはそういうルールだけど…。ていうかエロフ言うな！」

「ならば…カンじゃ」

「なっ…！？」

アリシア先輩が暗槓したのは八筒。

これで私の待ち牌が一気に半分に。

「ほう。どうやらこれが貴様の当たり牌だったようじゃな？」

「あっ」

アリシア先輩に言われて初めて自分のミスに気づく。

「ということは…これもかの？」

「え！？」

もう、驚きを隠すこともできない。

だって、アリシア様は嶺上牌を引いた後で再びカンしたのだ。

しかも…

「うー…ぴん…」

「その立直は早計だったようじゃなぁ？」

8枚全て生きていると思われた私の当たり牌は一瞬にして0枚に。

その上…

「ほう。まさかここまでとはな」

「「「！？！？」」」

3人が何に驚いたか。

もちろん槓ドラだ。

2回のカン、それによって増えたドラ表示牌はいずれも…

「妾の五筒がここまで化けるとはのぅ…」

さしものアリシア先輩も予想外だったようで少し驚いたような表情。

なにせ、表示牌はどちらも四筒だったのだから…。

そこからはもう地獄だった。私は立直しているが故に筒子をツモらされないことを祈るゲーム。アリシア先輩の手は仮に混一色だったとしても倍満以上確定。しかもこの流れなら数え役満はほぼ確定していそうだ。

メグ先輩とミタマちゃんは筒子と字牌は絶対に切れない。

そうなると待ち受ける結果は当然…

「ツモ。清一色、三暗刻、対々和、ドラ8。17翻で数え役満じゃな」

いくら筒子を全て止めていたとしてもツモられる分には止めようがない。

結局アリシア先輩にツモ和了られ、8100・16100。

せっかく和了った親ッパネがパァだ。

しかも、全くイカサマなし。

ヒラで数え役満なんて…

「基本的に妾は運がよい。ハズレのガリガリ君を絶対に引かない程度にはの」

「数え役満よりもアリシアちゃんの口から『ガリガリ君』って単語が出てきたことに驚きが隠せない」

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さあ、東三局が終わりました。

えっとね、半荘3回やるんだよこれ()

今回は初めて誰もイカサマしないお話でした。

まあ、運がいい奴はそれだけでイカサマみたいなもんだけどなぁ！(血涙)